「業務スーパー」の栄光と挫折。インサイダー取引疑惑で最悪は上場廃止も

 

神戸物産、急成長の裏に見える「おごり」と「ゆがみ」

しかし、急成長の一方でゆがみも見られています。

今年の3月には、財務諸表に誤りがあったとして、過去2年分における訂正報告書を提出しています。

また、同じく今年3月には税務申告が適正でなかったとして、大阪国税庁より約1億6000万円の追徴課税が課されています。

それに加えて起きたのが、今回のインサイダー取引疑惑です。

すでに述べた通り、上場会社である以上、重要情報の取扱いは慎重に行わなければなりません。仮に今回の事件で罪に問われるのが取引先のみだったとしても、重大事実を伝えてしまった同社役員のコンプライアンスに対する意識は低いと言わざるを得ません。

また、自己株式取得そのものについても、自己資本比率が10%台と同業他社と比較して低い水準であるにもかかわらず、純利益を大きく上回る水準の自己株式取得をすることは、財務戦略上一貫性を欠いているのではないかという疑問を感じます。

もし自己株式取得が、自社や取引先を潤すために株価の上昇を企てたものならば、神戸物産のコンプライアンス体制はあまりに未熟であると言わざるを得ません。

これはあくまで想像ですが、本来ならばしっかりと整理すべき会社のコンプライアンス体制が、会社が急成長したために十分に整わないまま今に至っているように思えます。

コンプライアンスは会社の利益に直接貢献するものではありませんが、上場会社である以上、何にも先んじて整備しなければならないものなのです。

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