続いて13時30分から、片仮名氏名でミドルネームあり(つまり外国人)の被告人の、「覚せい剤取締法違反、関税法違反」の控訴審判決。俺はこれを傍聴にきたのだ!
なぜならこれは、俺が把握してる限り、今日の期日が4回目なんである。控訴審が期日を重ねることは珍しい。その審理も原審も俺は一度も傍聴してない。
シャブ密輸、久々の逆転無罪かっ? 同じ思いなんだろう、司法記者クラブの記者さんが数人来たょ。
被告人は身柄(拘置所)。白髪混じりでウェーブのかかった髪をオールバックにして、わりと小柄。50代かなぁ。
通訳人は、見かけないご婦人。俺に聴き取りやすいフランス語だ。何を隠そう俺は高校時代、フランス映画にしびれてNHKラジオのフランス語講座を聴いてたのだ。
裁判長 「主文、本件公訴を棄却する。当審における未決勾留日数中220日を原判決の刑に算入する」
逆転無罪じゃなかった。ソク、記者が3人出た。残りの傍聴人は俺を含め5人だ。
しかし、じゃあなんで期日を重ねてたのか。
弁護人は、検面調書は被告人が用いていない表現を用いて作成されており、通訳の正確性について問題があると主張していたのだった。
裁判長 「ぜんぶの調書を採用したのは誤りがあると判断した…以下の3つの部分は証拠にできないと判断した…しかしながら原判決には影響を与えない…この誤りは原判決の結論に影響しない」
ふぅん…。聴き取れたところによる、こういう事実経過らしい。
すなわち被告人は、「ムサ」なる者から「大学設立」に関して「金庫の1700万米ドル」を受け取る目的で、日本へ向かった。その際、日本にいる誰かへの「贈り物」だとしてスーツケースを託された。
裁判長 「ムサからのメール…大学設立に関してやり取り…全くのウソとは言えない…」
ムサの話を信用して日本へ向かった。そこまではいいんである。
ところが、何が理由か不明だが、託されたスーツケースを経由地の香港で開けてみた。なんと大量の女性下着だった。
ここで、すべてがごろんとひっくり返る。