井戸:俺の場合は、基本的に自分でやりたくないんですよ。……こういうと語弊があるかもしれないけど、要するに自分ができないことばかりなんで、1人じゃなくてみんなでやってると。……藤沢さんからすれば、飲食店経営なんかしてる人たち見ると、バカにしか見えないでしょ?
藤沢:……いや、そんなことないですよ。
井戸:いやいやいや~(笑)。
藤沢:いや、本当に(笑)。……ていうか最近、思ってることがあってね。高学歴な人のコミュニティーって、高学歴な人しかいないんですよ。
井戸:はい、確かに。
藤沢:僕は大学で物理の研究してて、その後、外資系の金融機関なんかに就職してるからね、東大卒の人とかがふつうのお兄ちゃんみたいな感覚で、会社に入ってくるんですよ。それで、もちろんみんながんばって働くから、やっぱりこういう会社は、高学歴な人がいっぱいいるから、こうやって仕事ができるんだな、と思ってたの。でも、自分がサラリーマン辞めて、街で出会ったふつうの女の子と仲良くなるじゃないですか。
井戸:はい(笑)。
藤沢:そんで、僕が忙しいときに、いろいろ仕事とか手伝ってもらったりしたら、言われたことをそのままするぐらいなら、高卒とか短大出の女の子も、東大卒の男の子と同じぐらいちゃんと仕事できるんですよね。こっちがやることをちゃんと指示するとね。
井戸:なるほど。
藤沢:飲食業界で成功する人も、中卒とか高卒の人多いじゃないですか。
井戸:うん、多い。
藤沢:でも、当たり前だけど、会計とか法律とか、経営に関することは、しっかり分かってるじゃないですか。だから、別に学歴にかかわらず、学ぶ人は、自分で学ぶという、まあ、当たり前の話なんですけど。……むしろ大学とか出てる人のほうが、そういうビジネス関係のことって、全然分かってないことが多いような。
井戸:確かに、簿記とか、財務諸表の読み方なんて、学校では習わなかったな(笑)。
藤沢:むしろ、高学歴な人のほうが、実際の社会でビジネスをしていくための知識って、抜け落ちてますよね。
井戸:不思議なことに。でも、実際に体験すりゃ、別にそれこそ中卒、高卒のヤンキーでも分かる話であってね。商売なんて。

藤沢数希氏
藤沢:そうなんですよね。だから、そういうのが必要になった人は、大学出の人も中卒の人も、会社に入った後に自分で勉強してるし。
井戸:そう。
藤沢:だから結局、大半のビジネスで、受験競争で勝つための訓練って、直接は、役に立たないのかなって、思いましたね。ここ5年ぐらいの間にね。