藤沢:いや、井戸さんの家は別に、英語ができる寿司職人というのがあるからいいと思うんです。でも、やっぱりほとんどの家庭では、受験というか、そういうインフラが整ってることをやらせたほうがいいんではないか、と。そうじゃなければ、本人にたまたま才能があってやる気もあることに賭けるか、親が頑張って導くかどっちしかないわけだから。
井戸:確かにね。俺自身は子どもの将来に対して、どちらかというと無関心なほうだと思うんですけど、いちおう何かしてあげられる環境にある以上は、最低限ぐらいのことはしてあげたいな、という気持ちもあって……。
藤沢:でも、日本でSAPIXとかに入れて、バリバリ受験とかはさせたくないですよね。
井戸:させたくない。なんかお揃いのリュックを背負って、夏休みに電車で夏期講習とかに行ってる小学生とか見てると、いつも大変だよなと思ってて。
藤沢:ちなみに、リュック背負ってるのは、日能研ですけど。まあ、大変だけど、SAPIXとかに入れて、中学受験をちゃんと真面目にさせれば、12歳の時点で、ふつうの社会人レベルの日本語読解力とかはあるし、社会とか理科の常識はあるし、あと計算とかもめちゃめちゃ速くなってるから、そんな悪いもんじゃないんですけどね。でも、やっぱり、大変すぎるというのもあるから、そういうのをやらせず、アメリカに住むのはひとつの手ですよね。とりあえず英語はできるようになるし。
井戸:そう。それだけでいい、うちは。
藤沢:日本は英語できる人が少ないから、英語の価値がすごく高いんですよ、まだまだ。
井戸:確かにそうなんですよね。今回のアメリカ行きのメンバーも、何人かはもう決まってるんだけど、この先、向こうで100軒とかやろうと思ったらねぇ……。
藤沢:日本で集めるとなると、グググッとパイが小さくなりますよね。英語がしゃべれる人って条件を付けると。
井戸:少ないわけだからね。
藤沢:日本人が100人いれば、そのうちの5人ぐらい。……5人いるかいないかじゃないですかね、英語がしゃべれる人は。
井戸:そこなんですよ。
藤沢:しかもその5人って、どっちかというと高学歴コミュニティーにいるから。
井戸:そうなんです。だから今、アメリカだけじゃなくって世界的に見ても、飲食店で働いている人たちの層って……下の階層って言ったら語弊あるんですけど、それなりのステータスの人はやらないもんなんですよ。日本だと、まだ、大学卒業して新卒採用で入って来るじゃないですか、チェーン店でも居酒屋でも。そういう感覚が、向こうじゃ全然ないから。そうすると向こうで人材を募っても、来る人はそれこそアメリカに住んでるのに英語もできない、みたいな人たちになるわけですよ。さすがに日本で日本語できない人って、ほとんどいないじゃないですか。
藤沢:日本ってやっぱり飲食店とかコンビニで働いてる人のレベルが、すごく高いんですよ。
井戸:確かに、高い。
藤沢:アメリカとかでウエイトレスとか、コンビニとかで働いてる人たちって、すげえ愛想も悪いし。
井戸:そうそう。

藤沢数希氏
藤沢:労働意欲もモラルもないと。それがふつうなんですよ。それが世界のふつうなんです。
井戸:それをやっぱり変えていかないと……ってことで、日本から連れて行くってことになるんですけど。