無印良品の好調な業績を支えているものの一つとして「MUJI passport」を挙げることができます。日本国内では13年5月に配布を開始し、16年8月末時点で730万ダウンロードを達成したスマートフォンアプリです。
MUJI passportでできることは多岐に渡ります。商品情報を確認できることはもちろん、各店舗の在庫の確認や割引クーポンの獲得が可能です。商品の購入などで「マイル」と呼ばれるショッピングポイントを貯めることもできます。店舗の半径600m以内でチェックインボタンを押すことでマイルを貯めることができます。これにより、店舗を訪れる予定がない人にも店舗の存在を意識させることができます。フェイスブックなどのSNSとアプリ上で連動できるため、口コミの拡散があります。
MUJI passportは店舗とネットの融合「オムニチャネル」の成功事例といえるでしょう。MUJI passport利用者の客単価は約4,000円で、利用しない人の2倍になるといいます。16年8月末時点の日本国内の会員売上高比率(店頭)は44%にもなります。会員証提示比率(店頭)は28%なので、MUJI passport利用者の購買力の高さがわかります。集客と客単価向上を実現しています。
MUJI passportは中国、台湾、香港、韓国でも展開しています。中国での利用が伸びていて、16年8月末時点の中国でのダウンロード数は295万にもなっています。会員売上高比率(店頭)は33%と高い数値です。
海外事業の業績は好調です。特に中国を筆頭とした東アジア地域が好調で、16年3~8月期の売上高は10.7%増の432億円です。日本国内の売上高は1,057億円なので、半分近くにまで成長しています。16年2月期の東アジア地域の売上高は47.1%増となる830億円です。中国だけでみると、同期の売上高は84.5%増の230億円と急成長しているのがわかります。中国の店舗数は、17年2月期では43店舗増となる203店舗を計画しており、出店攻勢を強めています。
また、驚異的なのが営業利益率の高さです。16年2月期の日本国内の営業利益率は8.6%ですが、東アジア地域は20.7%にもなります。東アジア地域が稼ぎ頭となっています。営業利益の額では、東アジア地域が日本国内を上回りました。
中国では日本とは異なり、ステーショナリーグッズ(文房具)が売れます。高機能、高品質、多様なデザイン、低価格といったことが評価されています。また、衣服・雑貨の構成比が高いのも特徴です。ファッションブランドとしての認知が強く、ユニクロやZARA、H&Mといったブランドと同様のブランドポジショニングです。出店はファッションゾーンが基本です。