コンテンツマーケティングで有益な情報を提供している
コカ・コーラ社は様々なマーケティグ手段でブランド価値を高めていきました。ユニークな動画の配信の他にも、「コンテンツマーケティング」を行うといったことでブランド価値を向上させていきました。
コンテンツマーケティングとは、消費者にとって有益なコンテンツ(情報)を提供・配信することにより、消費者とコミュニケーションを図り、見込み客に対して購買に結びつく行動を促し、ブランドロイヤルティを向上させるマーケティグ手法のことです。
多種多様な情報が氾濫している今日において、人々は中身のある有益な情報を求めるようになりました。消費者のメディア接触時間において、従来のマスメディアからネットメディア、特にソーシャルメディアへの比重が増しています。コンテンツ(中身)のない情報は淘汰され、コンテンツのある情報がクローズアップされやすい時代となっています。
そこでコカ・コーラ社は2011年に、コンテンツマーケティグを戦略の中核とするために「Content 2020」を発表しました。「Content 2020」の柱として、「Coca Cola Journey」というサイトを立ち上げています。
このサイトでは、コカ・コーラや飲料といった商品の紹介だけでなく、社会問題や環境問題、音楽、カルチャーなど幅広い話題を取り上げています。コカ・コーラ社とは関係のない話を含めて、中身のある有益な情報を提供しています。
こうしたコンテンツマーケティングにより、消費者は継続的にコンテンツと接触するため、消費者の潜在意識に「コカ・コーラ」を植え付けることができます。ブランドイメージの維持と向上を図ることができます。ブランドイメージが向上することにより商品の価値は何倍にも高まります。
コカ・コーラにまつわる逸話や都市前説
コカ・コーラのブランド価値の高さを象徴する逸話や都市伝説的な話は枚挙にいとまがありません。コカ・コーラのレシピにまつわる話は有名でしょう。
コカ・コーラのレシピは、1886年に薬剤師のジョン・パンバートン氏によって考案されたと言われています。コカ・コーラが多くの人々に飲まれる理由やコカ・コーラがどのようにして出来上がるのかを多くの企業や人が知りたいと思うようになりました。しかし、コカ・コーラ社はレシピの公開を拒み続けてきました。
コカ・コーラのレシピはアメリカ国内の銀行の金庫で厳重なセキュリティのもと管理されていました。現在は、コカ・コーラ博物館(ワールド・オブ・コカ・コーラ)の保管庫で保管されています。
自称「トレジャーハンター」がたまたま小道具の小箱の底にコカ・コーラのレシピを見つけたという話があります。そのレシピはオークションに出品され、入札価格は5億円から始まり、15億円で落札されたとのことです(実際の支払いはされていません)。
この件についてコカ・コーラ社は、「コカ・コーラの本物のレシピはワールド・オブ・コカ・コーラで厳重に保管されている」とのコメントを発表し、オークションに出品されたレシピは本物ではないとしました。
レシピは最高幹部の二人だけしか知らず、どちらかが不慮の事故に遭遇しても、もう一人が存続することでレシピを守ることができるため、二人は同じ飛行機には搭乗しないという都市伝説的な話もあります。
コカ・コーラ社はインドに進出していました。しかし、1977年に当時の政権にコカ・コーラのレシピの伝授を要求されました。コカ・コーラ社はそれを拒否し、インド市場から撤退しています。16年後に再びインドに進出しましたが、その間の収益を放棄してでもレシピの秘密を守り続けてきました。
これらの話が象徴するように、コカ・コーラ社はコカ・コーラの神秘性という、ある種の虚構をつくり上げることで、コカ・コーラのブランド価値を高めていきました。
ブランド価値は実体のないものです。しかし、その実体のないものが人々を魅了し、人々の心を躍らせ、人々の共感を得てきたのです。コカ・コーラ社はコカ・コーラのレシピを公開することなく今日に至っています。