面接で「採用」オーラを出しつつ断った会社は、裁判で勝てるのか?

 

まず、採用については「雇用契約が成立したと認めることはできない」し「採用が内定していたと認めることもできない」とされました。あくまでも「雇用契約の準備段階に過ぎなかった」とされたのです。

そうであれば、何の問題も無いようにも思えるかも知れませんが、実はそうではないのです。結果として、会社は慰謝料など300万を支払うように命じられました。なぜか? その理由は、次の通りです。

  • 労働契約を結ぶ準備段階であっても、誠実に相手方と交渉しなければならない。
  • 相手方が誤解し、契約が確実に成立するとの誤った認識の下に行動しようとし、その結果過大な損害を負担する結果を招く可能性があるような場合、当事者は、相手方の誤解を是正し、損害の発生を防止することに協力すべき信義誠実上の義務がある。
  • この義務にしたときには相手方に加えた損害を賠償すべき責任がある。

つまり、たとえ採用前であってもその採用に関連して相手に損害がでたらその責任を負わなければいけないということです。実は、この裁判を起こした人はこの会社に入社をするつもりで働いていた会社をすでに退職していたのでした。

これは以前もお話ししましたが、面接をする際には非常に気をつけなければならない部分です。

※ご参考:「新卒学生の内々定を取り消した企業が、裁判で敗訴した理由」

採用が決定する前に安易なリップサービスで採用を期待させるようなことはもちろん問題ですし、本気で採用するつもりでも最終的に決定する前にはそのようなことは伝えるべきではないでしょう。

そして、これは採用の最終決裁者だけではなく、面接に関わるすべての人が共通で認識しておくべきことです。それが無いと非常に危険です。例えば、一次面接を現場の担当者がやっている会社などで、その担当者が安易に言ってしまった一言がその後のトラブルの原因になることはよくあることです。

みなさんの会社はいかがでしょうか。トラブルが起こる前に今のうちから徹底しておきたいですね。

image by: Shutterstock
 
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