炊飯器の性能だけじゃない。日本のお米が世界で一番美味しい理由

 

弥生の稲作遺跡として有名な、登呂遺跡からは木鉢と匙が出土しました。これを見る限りにおいて、収穫された稲から取れた米は、匙ですくって食べていたのだと考えると、「しるがゆ」にして食べていたのかなと推測できます。普通のご飯を匙で食べても良いのですが、それなら手でつかんで食べたのではないかと思います。汁がゆは手では掴めませんから、匙が必要になります。あくまで、個人的な分析です。

山梨県の榎田遺跡からは、古墳時代の遺物として、住居跡から底のない土器が出土しています。これは、(こしき)だろうとされています。

甑とは、現代で言うところの蒸篭(せいろ)にあたります。同じく山梨県の二宮遺跡からは、同じような甑と、長胴甕(ちょうどうがめ)が合わせて出土しました。胴の長い甕ですが、ここに水を入れて下から火を焚き、上に甑を置いて米を入れ、米を蒸して食べたのだろうと推測されています。つまり、強飯が古墳時代には一般的に作られていたことがわかるのです。

支配階級は強飯を食べ、一般庶民はしるがゆをすすると言う食生活が続いていたのではないでしょうか。

ご飯の美味しさは、その米の改良された品種なのか、水なのか、炊飯器の性能なのかはわかりませんが、日本のご飯が世界で最も美味しいようです。それは、粥から始まった食事が、強飯になり、姫飯になり、と移り変わり、その後、湯取り法から炊干し法へと移り、常に栄養と美味しさを追求し続けた日本人の2000年以上にわたる努力と工夫があったからです。

こうやって見てくると、日本のご飯が美味しいのも、他国が真似できないと言うのも、当たり前なのかもしれません。

image by:Shutterstock

 

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