世界の支配者層とは?
ダボス会議に出席する「世界の支配者層」とは誰でしょうか? 簡単にいえば、「政界のトップと超金持」です。「超金持」って、「どのくらい金持ち」なのでしょうか? 先日ご紹介した記事を読めば、「トンデモナイ金持ち」であることがわかります。
世界人口の半分36億人分の総資産と同額の富、8人の富豪に集中
AFP=時事 1/16(月)13:01配信
【AFP=時事】貧困撲滅に取り組む国際NGO「オックスファム(Oxfam)」は16日、世界人口のうち所得の低い半分に相当する36億人の資産額と、世界で最も裕福な富豪8人の資産額が同じだとする報告書を発表し、格差が「社会を分断する脅威」となるレベルにまで拡大していると警鐘を鳴らした。
そして、世界の支配者層は、「グローバリズム」を支持している。なぜ?
グローバリズムのおかげで、オフショアを使い、「合法的に」税金を払わなくていい。グローバリズムのおかげで、賃金の安い国に製造拠点をつくり大儲けすることができる。グローバリズムのおかげで、貧しい国から豊かな国に労働移民がどんどん流入し、労働者の賃金が低下していく。安く雇って大儲けできる。
つまり、グローバリズムは、彼らがさらに豊かになるのに、とてもいいことである。
ダボスに集まる人の「宗教」について、ウォール・ストリート・ジャーナルのジェラルド・ベーカー編集局長は、言います。
ダボスは単に場所や人々の集団ではなく1つの理念だ。しかも、冷戦終結後の25年間の世界を実際に支配し、大きな成功を収めてきた理念なのだ。
その本質はこうだ。世界は1つの巨大な市場であり、機会であり、政治形態である。世界的な経済活動への障壁は取り除くべきで、国境や国民感情、国家主権はグローバルな超国家機関に従属する必要がある。
(WSJ 1月18日)
世界の支配者層に見捨てられた中国
実をいうと、中国は長年、世界の支配者層の「お気に入り」でした。1991年末にソ連が崩壊するまで、中国は、ちゃっかり「ソ連に対抗するための強い味方」というポジションを得ていた。その後は、クリントン大統領夫妻を懐柔。「世界でもっとも儲かる国」ということで、世界の支配者に好かれてきた。
2010年11月、ソロスはいったものです。
アメリカから中国への、パワーと影響力の本当に驚くべき、急速な遷移があり、それはちょうど第二次世界大戦後の英国の衰退とアメリカへの覇権の移行に喩えられる。
今日、中国は活発な経済のみならず、実際に、アメリカよりもより機能的な政府を持っているという議論を呼ぶであろう。
ソロスは当時、「イギリスからアメリカに覇権が移ったように、今度は、アメリカから中国に覇権が移りつつある」、「それは悪いことではない」と考えていた。
しかし、中国は、その後傲慢になり、世界の支配者層に嫌われました。習近平が国家主席になり、「中国の夢」とか言い始めたとき、世界の支配者たちは、「こりゃダメだ!」と幻滅した。そして、中国から逃げ始めました。
シティやバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス・グループなどが2012年の初め以降、中国の銀行株を少なくとも140億ドル(約1兆7,000億円)相当を売却したという。
投資先としての中国の落日ぶりを象徴するのが、ブラジル、ロシア、インドを含む4カ国に投資する「BRICs(ブリックス)ファンド」をゴールドマンが閉鎖したことだ。ゴールドマンはBRICsの「名付け親」として新興国投資ブームを作ったが、中国が人民元を突如切り下げた時期にあたる8月12、13日の会合で閉鎖を決め、10月に別の新興国向けファンドと統合した。「予見できる将来に資産の急増が見込めない」と閉鎖理由を説明している。
(夕刊フジ 2015年11月25日)
そして、「中国万歳」ソロスの論調も、180度変化しました。2016年1月の発言。
ソロス氏:中国のハードランディングは不可避、株投資は時期尚早(2)
Bloomberg 1月22日(金)9時54分配信
(ブルームバーグ):著名投資家ジョージ・ソロス氏は21日、中国経済がハードランディングに直面しており、こうした状況は世界的なデフレ圧力の一因になるだろうと述べた。同氏はまた、中国情勢を考慮して、自分は米株の下落を見込んだ取引をしていると説明した。
ソロス氏はスイス・ダボスでのブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「ハードランディングは事実上不可避だ」と指摘。「私は予想しているのではなく、実際に目にしている」と語った。
「ハードランディングは事実上不可避」だそうです。