今は出血防止に必死。将来は?
今は出血をいかに防ぐかに全力を尽くしているが、問題は稼ぎ頭の分野や将来の有望分野を売却した後、今後の東芝は何を柱に再建していくのかという問題だ。綱川社長は「社員たちの心が折れないように全員で頑張っていく」と決意を述べているが、再建戦略を描けるかどうかだ。
残った事業の中では社会インフラやエレベーター、鉄道、車部品、空調などのほかフラッシュメモリー以外の半導体事業IOT(あらゆるものがネットにつながる)などでイノベーションを目指し、収益をあげられるかどうか。
かつては家電、重電業界の雄として電機メーカーのトップに立っていたが、今後はライバルだった日立の売上の半分位の規模になる可能性が強い。
本稿で私は数年前から何度も「大動乱時代」が来ると書いてきたが、経団連会長を輩出し財界のリード役だった名門・東芝があっという間に転落する様を見るにつけ、現代という時代の恐さと経営者の責任の重大さを改めて感じる。
(TSR情報 2017年2月21日)