未来がまったく見えぬ日本を追い込む、マイナス金利という蟻地獄

 

シラケムードを作っている政府・日銀

このシラケムードを作っている張本人は政府と日銀だろう。安倍内閣は口を開けば、景気回復第一と言うが、見えてくるのは安全保障と外交ばかりだし、日銀は2%の呪縛に縛られ世界の金融緩和脱却の動きから取り残されつつあるのが実情だ。日銀は7月20日の金融政策決定会合で物価2%目標の達成時期をまた先送りし「19年度頃」とした。これで金融緩和を始めてから目標を先送りしたのは6回目となる。6回も先送りしたのでは、もはや目標の実現を信ずる人はいなくなるのではないか。

黒田日銀総裁は「景気は緩やかな拡大に転じつつあり、今後も成長を維持できる」と指摘しているが「物価が上がらないのは、上がりにくいを前提とした考え方、慣行が企業や家計に根強く残っていることが影響している。ただこうした状況はいつまでも続くとは想定していない」と言い、いずれ2%に達するはずだという現在の日銀のスタンスを変える気のないことを強調している。

2%目標でないとダメなのか

また2%を目標としていることについては

  1. 2%程度の余裕がないと原油価格の急落など外的要因で物価上昇率が再びマイナスになるリスクがある
  2. 先進国の主な中央銀行は2%程度を目標としているので日銀も歩調を合わせた。各国が同じ目標を持てば為替の安定につながる

──などを指摘し目標を変える気がないことを主張している。

結局、国民や企業の根強いデフレマインドを打破することが重要だ、と主張しているものだが、それには政府・日銀が物価目標よりも将来の生活が安定することがわかるような政策を打ち出さないと解決しないのではないか。(Japan In-depth 2017年7月22日)

 

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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