コインチェック一時売買停止。今こそ仮想通貨は「投機」から脱却せよ

出川哲朗さんのCMでおなじみ、日本の仮想通貨の大手取引所「コインチェック」で26日、仮想通貨の売買が一時停止するトラブルが発生しました。同社は、顧客から預かっていた時価580億円分の仮想通貨NEMを流出させたと発表、不正アクセスによる盗難の可能性が高いと見られています。日本では「投機対象」としてのみ注目されている仮想通貨の状況について、以前から警鐘を鳴らし続けていたメルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者で世界的プログラマーの中島聡さんは、現在の状況を悲観する反面、この欠点を克服さえすれば仮想通貨はブレイクスルーする可能性を秘めている、と期待を寄せています。
日本では投機対象のみ。「仮想通貨」の実用化は遠い未来の話か?
読者からの質問です。
仮想通貨が単なる投資や投機対象というだけでなく、今後昔でいうiPhoneなどのプラットホームになるかもしれないという考えがあり、特にイーサリアムはMicrosoftと提携したり、エンジニアがイーサリアムをプラットホームとし様々なシステムを開発し発展していくと言われています。この点に関しての中島さんの見解をおききしたいです。宜しくお願い致します。
とても良い質問です。英語で表現すれば(ビットコインの高騰を反映して) “billion dollar question” と呼んでも良いと思います。
この問題には私も大いに悩んでいます。ブロックチェーンは本当に素晴らしい技術だし、それを上手に応用すれば、これまでにない新しい形のサービスも出来るだろうし、ビジネスのやり方も大きく変わるだろうという予感(というかエンジニアとしての直感)はあります。
しかし、ビットコインに代表される仮想通貨(暗号通貨)が投機の対象になってしまい、逆に通貨としての役割を果たせなくなったことはとても残念だと感じています。
今の形の仮想通貨ではなく、円やドルにペグした形の仮想通貨を国が発行すれば良いとか、銀行が銀行間で流通する仮想通貨を作れば良いなどの意見もありますが、それでは、マイニングによって信頼性を担保するというブロックチェーンの一番の利点が生かされません。
(マイニングという)人の欲望を巧みに利用したブロックチェーンという技術は、技術的には素晴らしいものの、その欲望故に使いこなすことがとても難しいものだというのが正直な今の気持ちです。ひょっとすると、それが致命的な欠点となり、人類には上手に使いこなすことが出来ないのではないかとすら思っています。
であれば、作られた仮想通貨が投機の対象になってしまうという欠点を克服する新しいブロックチェーンを発明することが出来たら、それこそ大きなブレークスルーになると考えている、今日この頃です。
image by: shutterstock
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