あなたのお店の「ちょっといい話」を集めてください。過去を思い出してください。そして、それをニューズレターやチラシ、SNSなどで拡散してください。きっと共感してくれます。
最後に、ディズニーランドで「伝説のサービス」と言われるエピソードをご紹介しておきます。『ディズニーランド流心理学』(山田眞著)という本の中で紹介されています。
東京ディズニーランドの「ワールドバザール」の一角にある人気レストラン「イーストサイド・カフェ」でのできごとだ。そこに若い夫婦がやってきた。キャストは二人用の席に案内し、注文を取った。二人は、それぞれが食べるであろう食事以外に、もう一品、料理を頼んだ。
「お子さまランチをください」
応対したキャストは、困惑した。東京ディズニーランドのマニュアルでは、お子さまランチは、9歳未満の子ども以外には出せないことになっていた。そう言われて二人は寂しげな顔で、互いを見つめ合う。
キャストは勇気を出して、そのお子さまランチを、誰が食べるのかを尋ねた。
「今日は、昨年亡くなった娘の誕生日なんです。私の体が弱かったせいで、娘は最初の誕生日を迎えることもできませんでした。おなかの中にいるときには、主人と三人で、ここのお子さまランチを食べに行こうねって約束していたのに、それを果たせませんでした……。それで、今日は、娘にお子さまランチを頼んであげたくて、参りました」
その言葉に、キャストは言葉をつまらせた。
そして次の瞬間、そのキャストは、二人を別の席に案内した。家族四人でかけるテーブルだ。そして、さらにそこに子ども用の椅子も持って来た。もちろん、そのテーブルに、お子さまランチが持ってこられたのはいうまでもない。
「どうぞ、ご家族でごゆっくりとお楽しみください」
キャストはそう言って、テーブルをあとにした。
私は、この話を忘れることができません。これこそがサービス、おもてなしだと思います。このエピソードは、キャスト全員に伝えられました。また、このお客さまによって新聞に投稿され、「伝説のサービス」と言われるようになったのです。