上司が考えるべきことは、組織全体にとって、最も仕事の価値が高くなる時間投下の仕方。自分は、部下より付加価値の高い仕事を行い、そのほかの仕事は、極力人に任せていく方法を考えなくてはなりません。常に、個々のタスクの「費用対効果」を考え、まず部下に振ることを検討し、能力が及ばない場合に、自分が乗り出していくという形にすべきでしょう。
あらゆる仕事を自分で処理して、組織が回っている場合、あたかも「自分は仕事ができる」と勘違いしてしまいがちになります。しかし、それは、自己満足に過ぎません。
上司が忙しく働いている間、組織としてのパフォーマンスは恐ろしく低くなっているかもしれません。それは、ゆくゆくは上司の評価、ひいては部下の評価まで下げてしまうことになりかねません。価値が低い仕事すら、能力的に自分でやらざるを得ない状態である場合、それは部下の能力のせいというよりも、上司の指導の仕方に問題があるということになります。
私たちは、自分の24時間を、何にどう使うか、を考えていると思います。上司になった場合には、その考えを組織全体に及ぼすことになります。「私」対「部下」ではなく、組織全体を自分と考え、誰がどの仕事を担当することが組織全体として、効果的に業務が進むか、時間を効率的に使うことになるか、を考えることが大切なのだと思います。
上司になった人は、ぜひ、「自分でやりたい病」を治療するように気をつけましょう。
人間は『自分でなければできない』と錯覚していることが多すぎる。(P.ドラッカー)
今回は、ここまでです。
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