いつも売れ筋の「マグロ」を、さらに売れる商品にできないか、と考えた地方ローカルスーパーがあります。その店は一体どんな戦略をとったのでしょうか? 毎回さまざまな販促の方法を紹介している無料メルマガ『販促アイデアと経営活性化』の著者で30年以上にわたる営業現場での経験を活かし、販促専門家として活躍中の前沢しんじさんが、とある地方スーパーの売れ筋商品であるマグロを「モンスター商品」にまで伸ばした戦略を紹介しています。シビれるチラシにご注目ください。
まぐろをモンスター商品にした!
ある地元スーパーさんでは魚部門が強く、その中でもシビ(まぐろ)が圧倒的に売上げ構成比が高く、店全体でもまぐろだけで5%を占めるほどのアイテムでした。トンボ、メバチ、キハダなどのレギュラーアイテム(短冊・切り落とし・刺身)から、ネギトロ、タタキなどの加工品、さらにオリジナル「汐シビ」などフルラインで揃えました。
売れている商品はまだまだ伸びるという原則があります。そこで「もっと伸ばす」べく、販促キャンペーンを重ねて打ちました。
売れ行きが伸びると担当者に自信がつきます。キャンペーンを重ねるとお客様も「ほんとうにここのシビはいいね」というイメージが蓄積してきます。実際の広告はこれです。

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もちろん広告だけでなく、売場はボリューム陳列と雰囲気づくりが欠かせません。大漁旗、音楽、光(照明)、あらゆるPOP広告(それぞれのアイテムの特長や食べ方などの商品説明、価格訴求など)を駆使して「モンスター商品」を育てていくのです。
訴求型POPとして、180×90の厚手スチロール板をまぐろの形に切り抜いてまぐろをペイントして、売り場に斜めにかけるなどすると動きがでます。時にはイベントとして「まぐろ解体ショー」も取り入れてお祭り的に打ち出します。
月2回程度は「シビ祭り」として、「これがうちのメイン商品だ!」とお客様に訴求していきます
まずは売上げ構成比を調べてモンスター商品をつくる!
自店の部門や商品ごとの売上げ構成比を知っていますか? POSレジでは売上げ構成比が簡単に出ますが、出てきた数字は感覚的リアリティに欠けます。そこで手作業でのABC分析をおすすめします。
その結果、ほんとうに強い商品がわかります。そこを伸ばす。鉄は熱いうちに打つが如く、得意な分野ほどよく伸びます。長所を伸ばす。これが鉄則です。
結果
もともと強い商品でしたので一気に2倍などという伸びはありませんが、まぐろ商品群全体で確実に20%程度はアップした模様です。単品的には「まぐろが売り切れて2回追加注文しました!」というような店長からのメールがあったりしておおいに活気づきました。
大事なこと
まずは「うちは何が得意なんだろう」という商品を知ることです。それがわかれば、もっと強くするためにその商品のブラッシュアップ、そして商品群の充実、関連商品の整備充実、価格設定の再検討、その上で「売り込み」です。
単に広告を出して売り出しをすれば「売り込み」になるわけではありません。まずは態勢をビシッと立てましょう。そこからです。
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