訪れた途端、心にキンと響き渡るような京都の庭園。その奥ゆかしい美しさに心惹かれる方も多く、国内はもとより海外からの観光客も後を絶ちません。中でも圓光寺の枯山水庭園「奔龍庭」は一度はその目に入れておきたい躍動感に飛んだ素晴らしい庭園です。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』は著者である英 学(はなぶさ がく)さんが、一乗寺エリアの名所を紹介しています。
庭園で有名な圓光寺
圓光寺は中心部からやや北東の一乗寺エリアにあります。1601年に徳川家康が伏見に開設した学問所が起源です。その後、1667年に現在の一乗寺に移りました。最近は庭園の素晴らしさを見ようと観光客が多数訪れる人気のスポットとなっています。
山門をくぐると「奔龍庭」(ほんりゅうてい)という枯山水庭園があります。渦を巻いたような白砂、石柱、石組みだけで作成されたシンプルな庭です。それらは雲海や稲妻、龍に見立てたものでとても躍動感があります。
圓光寺には江戸時代の貴重な宝物が展示されています。当時書物の刊行に使用された木活字(もっかつじ)です。当時としてはこの印刷技術は画期的だったことでしょう。
圓光寺の本尊は運慶の作と伝えられている千手観世音菩薩坐像です。また京都生まれで日本最後の文人と言われる富岡鉄斎が描いた襖絵も展示されています。
本堂の玄関口には水琴窟があります。水琴窟は日本庭園における最高技術のひとつです。地中の空洞に水滴の音を響かせ、その音を楽しむというものです。圓光寺の水琴窟はキーンと余韻のある美しい音色で、幻想的で癒し効果があります。
本堂前の庭園「十牛之庭」(じゅうぎゅうのにわ)は江戸時代に作庭された池泉回遊式の庭園です。十牛とは、禅の悟りへと至る道程を表したものです。ここでは非日常の時間を過ごせることでしょう。本堂の柱を額縁に見立て、額縁庭園として観賞することが出来ます。秋には燃えるような赤い紅葉を額縁の中に見ることができます。

十牛之庭