ファストファッションの勢いを削いだもの
だが、ユニクロとジーユーといえども安泰でいられる保証はどこにもない。国内のユニクロは店舗数が頭打ちだ。18年8月末時点で827店を展開しているが、長らく横ばいが続き伸びが見られない。大型店の割合を増やしたり商品を強化するなどして底上げを図っているが、限界がある。最近は驚きのある新商品を生み出せておらず、手詰まり感が漂う。ジーユーは成長してはいるが、かつての勢いはない。16年8月期に前期比32.7%の増収を達成したのと比べると見劣りする。
ユニクロとジーユーはカニバリゼーション(食い合い)が今後の課題になりそうだ。ファストリは両者をあえて近接する形で出店することがある。ネームバリューがあるユニクロの力を借りることで知名度が必ずしも高くないジーユーの宣伝ができるほか、近接出店することで両店の間で人材や資材の融通を機動的に行うなどして効率的な運営が実現できる。ただ、これには顧客の奪い合いのリスクをはらむ。
例えば、ギャップは北米で苦戦を強いられているが、一因として兄弟ブランドのオールドネイビーに顧客を奪われている側面があり、ユニクロとジーユーも同じようなかたちで顧客の奪い合いが深刻化し、業績が悪化する懸念がある。
ファストファッションといえば、へネス・アンド・マウリッツ(H&M)とフォーエバー21が欠かせないだろう。H&Mは堅調だが、かつてほどの勢いはない。昨年7月には日本の1号店だった銀座店(東京・中央)の閉店に追い込まれている。採算が合わなかったことが一因とみられる。フォーエバー21はそれより少し前の17年10月に同じく日本1号店の原宿店(東京・渋谷)を閉店している。どちらも出店時に大行列ができるなど一世を風靡した。その両店が閉店したというのは、ファストファッションブームの終焉を感じさせる出来事のようにも思える。
こうして見ると、ファストファッション各社は企業によって好不調があるが、全体で見れば力強さを欠いているように思える。ファストファッションは00年代後半に市場を席巻したが、現在は一服感が出ている。曲がり角にきているのではないか。
ファストファッションにかつての勢いがないのは、衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」の躍進と無縁ではないだろう。