これまた世界が勘違いした「iPadがマウスに対応」報道━━事の発端は「アクセシビリティの機能強化」
今回のWWDCで、個人的にもっとも興奮したのがiPadOSだ。
ファイル管理が大幅に強化され、USBメモリなども利用できるようになった。ただ、この機能強化はiOS13でも採用されているため、実際はiPhoneでも、USBメモリを刺し、ファイルを操作したり、メールに添付するといったことが可能になるようだ。
ただ、iPadOSになることで、iPadをパソコンのように使えるようになったため、外出先にはMacBook Proを持ち歩くことなく、iPad Proで仕事を全てこなせるような気がしてきている。やはり、MacBook Proよりも軽く、LTE内蔵でどこでも通信ができるというメリットは計り知れない。
WWDC期間中、iPad関連でセンセーショナルな話題としてネット上を駆け巡ったのが「iPadOSでマウスが使えるようになる」というものだ。SNS上には実際に最新のiPadOSをインストールし、マウスを接続している動画をアップしている開発者が現れ、一部のウェブメディアがそれらを取り上げて記事にしていた。
「ペン入力に続いて、ついにマウスまで対応してきたか」という点に驚いたが、そもそもiPadをマウスで操作したいというニーズがどれだけあるか、ちょっと眉唾なところもあった。というわけで、WWDCの現地で、確認作業を行うことにした。
結果から言えば「iPadでマウスを使うのは技術的には対応可能だが、一般ユーザー向けではない」というのが本当のところだ。
実際のところ、SNS上であがっているような、カーソルを動かしてiPadを操作するのは現行のバージョンでも実現可能だという。しかし、それらの機能は「アクセシビリティ」の一部として提供されており、「手が不自由でタッチ操作が行えない人向けに、ジョイスティックを使った操作を可能にする」というものなのだという。
新しいiPadOSにより、ジョイスティック以外の機器でもカーソルを動かしての操作が可能となったため「マウスを繋いで操作することも可能になった」というのが本当のところのようだ。つまり、今度のiPadOSでマウスを使うことは標準機能ではなく、あくまで「アクセシビリティのなかのひとつ」というわけだ。
アップルとして、iPadの操作は「指」を前提としており、手書き入力などでApple Pencilの利用を想定しているというのが基本的なスタンスのようだ。
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