最後に、おまけです。「〇〇口調」というのは、言い換えれば、まるで〇〇みたいな話し方、というような、その人の話しぶりの喩え、比喩表現、と言うことも可能だと思います。
では例えば、比喩表現が巧みな人気作家、村上春樹さんの小説には、どんな口調が、どんな言葉で表現されているのか、いくつか挙げてみることにしましょう。
「もしもし、」と女が言った。それはまるで安定の悪いテーブルに薄いグラスをそっと載せるようなしゃべり方だった。~『風の歌を聴け』
私、あなたのしゃべり方すごく好きよ。きれいに壁土を塗ってるみたいで。~『ノルウェイの森』
「可哀そうな人」と彼女は言った。まるで壁に書かれた大きな文字を読み上げているような声だった。~『国境の南、太陽の西』
いかがですか?解説は野暮ですね。
先に述べたように、〇〇口調は、イメージ出来たら、再現できる話し方です。「壁土をきれいに塗るような、口調」。なるほど、こんな話し方かな~なんてイメージして、実際に誰かに試してみる、なんていうのも、遊び心のある取り組みかもしれません。
村上春樹の小説に出てきそうな話し方、なんだか、漫才のネタになりそうですね…。
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