既存店売上のマイナス傾向が定着した19年6月には21日~30日に、「東証一部上場記念特別キャンペーン」と称し、串カツ全品100円またはハイボール何杯でも100円のキャンペーンを実施。7月からは500円で「田中で飲みPASS」という1ヶ月有効の定期券を購入すると、400円以下のドリンクが1杯199円となる、ドリンク割引の定額サービスを始めた。会員数は10万人超えと好調という。翌7月22日から8月9日にかけて、串カツ全品100円に加えて、「田中で飲みPASS」でドリンクが199円になる、串カツ田中史上最強コスパキャンペーンを実施した。そればかりではなく、8月19日~31日にも串カツ全品100円を「真夏の串カツキャンペーン」と称して実施した。19年8月は、通常の価格で営業したのは、なんと10日~18日の9日間だけだ。
19年8月からは、平日食べ放題も導入した。前日までの予約必須の1日30名・午後6時までの来店者限定で大人1,480円(小学生以下割引あり)の串カツ食べ放題、大人2,180円(同)のほぼ全品食べ放題も始めたが、すべからく効果が出ていない。もう何が本当の値段なのか、価格が崩壊している。
消費税引き上げ後のテコ入れとして、19年11月には、“1111”が串カツの串が並んでいるように見えることから「串カツ田中の日」と称して、11月11日の1日から8日までは串カツ全品100円、9~10日は休日ながら串カツ全品1,480円の食べ放題、11日はさらにお得に串カツ全品1,111円の食べ放題を実施している。9~10日と11日のキャンペーンは1日限定20人で、Web予約を必須とした。「串カツ田中の日」は5回目だったそうだが、これまた全然効かなかった。

串カツ全品100円、食べ放題、ハッピーアワーと割引キャンペーンが満載
結局、串カツ田中は、煙草の煙がない空気のきれいな居酒屋だからこそ行きたいと強固に主張する嫌煙家たちに見捨てられたのだ。嫌煙家たちは自分たちの禁煙イデオロギーを通すために串カツ田中をネタに使い、薄情にも飽きてしまった。彼らがしっかりと支えればこうはならない。
串カツ田中が率先して禁煙化に踏み切ったのは、「プレミアムフライデー」の成功体験によっている。つまりリスクを取ってファーストペンギンになることで、企業イメージを上げて、売上を伸ばそうとした。ところが、あまりにも値下げキャンペーンを連発し過ぎて、価格崩壊を起こしてしまっている。
串カツ全品100円は「プレミアムフライデー」に一本化し、ドリンク割引は「田中で飲みPASS」に一本化するなど、特に同社のサイトやツイッターをチェックしていない人でも、誰でもわかるようにしないと、割引を受けた人とそうでない人の不公平感が生じてしまう。
気になるのは新商品のキャンペーンが、全くと言っていいほどなされていないことだ。目新しいメニューがなくて、頻繁に割り引いている居酒屋と、顧客にみなされてしまっている。

風情ある京都・三条木屋町店外観
新商品でなくても「串カツ田中」には顧客がセルフでジャガイモを潰して食べるポテトサラダ、セルフで焼くたこ焼きなど面白い体験型メニューが幾つかある。南大阪の名物、かすうどんだって売りのはずだ。

かすうどん
なぜ、アピールしないのか。
image by: 長浜淳之介