便利な鉄道作りで新たな乗客をつかんだのは、北陸新幹線も同様だ。2015年の開業から3年。金沢駅には、毎日2万人の乗降客が新幹線で押し寄せている。新たな人の動きで地元金沢にも変化があった。通りを入った路地にまで店ができ、観光客の姿が。甘味処「カフェ&ギャラリー三味」も最近出来た店。連日、客で大賑わいの店内では、「おちらし黒糖ゼリー」(400円)など、地元の産物を使ったオリジナルのスイーツで客をもてなしていた。実家の町屋を改装して店を始めた店主の中屋幸子さんは「新幹線ができて、お客さんが嵐のように増えました。感謝です」と言う。
そして今、JR東日本が攻めるのが、2020年開業予定の山手線の新駅だ。隈研吾がデザインを手がける、世界への玄関口と位置付ける巨大開発。民営化から30年、攻めに攻め続けてきた冨田の、未来への一手だ。「いよいよ新しい駅ができ、駅を中心に新しい街が発展する。どきどきします」(冨田)
革新サービス続々~最悪鉄道会社の逆転劇
明石海峡で生まれたヒット商品がある。手がけるのは神戸市の「淡路屋」。おいしそうに煮ていたのは、明石海峡産のプリプリに身の引き締まったタコだ。醤油ベースの特製炊き込みご飯を陶器の容器に詰め、その上に様々な具材とともに自慢のタコを載せていく。明石名物の駅弁、「ひっぱりだこ飯」(1080円)だ。
これが毎日のように空輸されていく先がJR東京駅。早朝5時半にオープンするJR東日本グループの「駅弁屋 祭」だ。店が開くと同時に待っていた客が店内になだれ込む。全国津々浦々の200種類を扱う、 JR東日本が誇る駅弁の百貨店だ。ひっぱりだこ飯が飛ぶように売れていく。常に新しい駅弁を仕入れるなど、客が喜ぶ店作りにこだわり抜き、今や「祭」は1日1万食を売るまでになった。