卒業文集指導という名の言論統制
結果として、Xさんは中学1年生の6月、冒頭のタオル窃盗冤罪いじめ事件で、学校に一度も通えないまま卒業の時を迎えたのだ。
その間、校長が変わったが、新校長とは一度もあったことがない。担任も変わったそうだが、その名前も知らない。修学旅行や受験の説明会もいつ行われたかも知らぬままであった。
さらに市教委の指導がなければ、教科書すら送られてきていなかったという状態であった。
学校は被害者に対応したと言ってのけるが、これは対応とは言わない、放置という。
診断書を提出した女医さんが教頭に脅され、病院を変えなければならなくなったということもあったのだ。
ネットを監視し、それっぽい投稿を見つけては監視するという行為にも及んでいる。
こうした事実は、証言も含め複数得られているが、枚挙にいとまがない。
そして、卒業文集である。
冒頭に示したように、卒業文集の指導という名目で、Xさんの作文は、卒業文集には掲載されていない。
Xさんの保護者は、「Xさんの作文が単に貼り付けられているだけの卒業文集」と「他の子が受け取ったXさんの作文が削除されている卒業文集」の2冊を後の証拠のために購入したのだ。
作文の内容はクラスや特定の個人に対する恨みつらみが書いてあるだろうか?
むしろ、こんなひどい状況の中でも経験として糧としよう、感謝しようという内容である。
しかも、Xさんは入学してからおよそ2か月で不登校状態へ押しやられてしまっている。
いじめを受けていた2か月間に、何の良い思い出を見出せというのだ。
いじめの被害者は何も言うな、黙っていじめられていろとでもいうのだろうか。
ちなみに、この件に関係した管理職や教職員は、出世し天下りにあるということだ。
市長は今すぐいじめ監察課を設置せよ
全国を回っていて強く感じるのは愛知県下における教育行政機関の強さだ。
政治家にとっては票田ともいえる教育関係者の力は他県と比較して肌感覚ではあるが、強いと感じることが多い。
しかし、それと同時に、本件と同様に、一縷の望みもないといういじめ事件の相談が大量に発生しているのだ。
名東区の中1女子転落事故も然り、この事件については、私もNHKの密着を伴って、その対応のひどさを糾弾した。
これは多くの被害者らの声の代弁である。
「もはや、教育委員会にはいじめに対応する能力はなく、その直下にある調査機関には、いじめ防止対策推進法を正しく運用することはできていないと言える」
「教育委員会直下の調査委員会を第三者委員会だと言っているのはおかしい。利害関係のある第三者ではないか」
「いじめかどうかは我々が判断するというが、加害者の言葉ばかり信じ、被害者には立証責任があるという。お前らは裁判官か。調査する人たちではないのか」
など、いじめ認容に至った被害者も同じように話すのだ。
大阪寝屋川市は、市長部局直下に監察課を新設し、いじめ対応の一切をこの監察課が行うことになっている。この成果は目覚ましく、教育委員会や学校は予防に徹しているのだ。
名古屋市は今すぐ、この制度を取り入れ、児童生徒を守ること、いじめ被害者も加害者もこれ以上増やさないことに注力してほしいと思う。