楽天モバイルに総務省が行政指導。問題点をスマホのプロが解説

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楽天モバイルがRakuten LinkのiOS版を投入。iPhoneユーザーが楽天モバイルに移行しやすくなったようです。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、総務省から指導を受けたオリジナルスマホ「Rakuten Mini」で需要喚起するより「iPhoneでの2回線目」の方が需要があるのではと指摘。ユーザーにとって、料金メリットが大きくなりそうと期待しています。

Rakuten LinkのiOS対応でiPhoneユーザー獲得に追い風

楽天モバイルのスマホ「Rakuten Mini」における、技適問題。7月10日、総務省は法令順守および利用者利益の面で問題があるとし、楽天モバイルに対して書面で厳重注意を行った。同社が報告書に記載した再発防止策を実施しているか、12月末まで毎月、取り組み状況を報告するように求めた。

楽天モバイルでは、総務省から行政指導を受けて、プレスリリースを出した。行政指導の内容としては、

  1. 工事設計合致義務に違反し、認証工事設計に合致しない機器を、認証工事設計に基づく適合表示無線設備として製造・販売を行っていたこと
  2. 付与された工事設計認証の番号とは異なる番号を表示した特定無線設備の製造・販売を行っていたこと
  3. 対応周波数帯が異なる3種類の各機器の対応周波数帯等の違いについて、消費者に対して説明を行わないまま、販売を行っていたこと

の3点が問題視されたという。

また、今後の楽天モバイルとしての取り組みとしては、

  1. 開発主管部署における業務プロセス改善の徹底
  2. 人材の適正配置、採用、育成強化およびチェック体制の強化
  3. 新製品導入時等の各部門の情報共有と部署間の合意形成の徹底
  4. 機器の設計業務、社内チェック体制と継続的な業務モニタリングの強化
  5. 問題発生時の原因究明および従業員コンプライアンス強化の更なる徹底

を挙げている。

ただ、そもそも、発売後に対応する周波数帯が変更され、それを黙った状態で世間に出回るなんて、前代未聞なことだ。「意図しないミスで対応周波数が変わった」とか「意図しないミスで異なる技適が表示された」という訳ではなく、発端は意図的に対応周波数を変えたことにある。再発防止策を作り、12月末まで総務省に報告し続けるとあるが、こんなことが再発することなんてあり得ないのではないか。

楽天モバイルとしては、個性的な端末で世間の注目を浴びようとし、「1円販売」で一気にユーザーを集め、成功したかに見えたが、技適問題でなんとも後味の悪い結果を残してしまった。

そんな中、楽天モバイルでは今週、Rakuten LinkのiOS版を投入した。楽天モバイルでiPhoneの取り扱いを開始するのかは不明だが、3キャリアやSIMフリーでiPhoneを使っているユーザーとすれば、楽天モバイルに移行しやすくなるのではないか。

今の楽天モバイルとすれば、オリジナルスマホを出し、2台目需要を喚起するよりも「iPhoneの2回線目需要」を掘り起こした方がいいのではないか。使い古したiPhoneでもいいし、最近のiPhoneならeSIMで2回線目として契約して貰えばいい。

「メインキャリアはできるだけ安い契約にしつつ、データと音声はeSIMの楽天モバイル」という組み合わせなら最強だ。オリジナルスマホで凡ミスするくらいなら、iPhone向けサービスを強化して、回線数を稼ぐ方が手っ取り早いのではないか。

image by: Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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