いじめ第三者委員会の特殊性
いじめ防止対策推進法では、大まかに3つの調査委員会が考えられている。
1.教育委員会直下の付属機関
いじめ防止対策推進法第14条の3 前二項の規定を踏まえ、教育委員会といじめ問題対策連絡協議会との円滑な連携の下に、地方いじめ防止基本方針に基づく地域におけるいじめの防止等のための対策を実効的に行うようにするため必要があるときは、教育委員会に附属機関として必要な組織を置くことができるものとする。
2.学校によるいじめ防止等の対策のための組織
いじめ防止対策推進法第22条 学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする。
3.重大事態いじめに対応するための第三者委員会
いじめ防止対策推進法第28条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。
つまり、第三者委員会だと言われるものには、14条委員会、22条委員会、28条委員会の3つがあるのだ。14条、22条委員会はそもそも機能していないケースが多いため、多くは28条根拠の委員会である
そして、これでもダメな場合は、次のような委員会が考えられている。いわゆる再調査委員会は、これに当たる。
簡単に言えば、第三者委員会は学校か学校の設置者(公立であれば教育委員会、私立であれば学校法人など)が外部の委員などを入れて組織するということなのだ。
もちろん、法としては中立公正を担保するために、直接利害関係のないものや持たれあいなどの関係にない者を選任するようにとされているが、地方の場合は地域的な事情でそうした人物しかいない場合は、被害児童などに説明を明示して、同意を得なければならないことになっているのだ。
これは国の方針で示されている明文化されているものなのだが、知らずか、強引に委員を決めてしまうケースが後を絶たない。
多くの公立校では、現場教員や管理職である副校長や校長などが教育委員会事務局と人事として密接な関係があり、地域の専門家や経済と学校などが密な関係であるケースも多い。
いじめ防止対策推進法では、そうした懸念からも色々な対策をその中で熟考したと思えるが、「国のガイドラインなどではこうだ」が「わが市ではこうだ」と歪めてしまう事例が後を絶たないという問題も発生している。
一般的に大企業などが不祥事を起こしたケースなどでの第三者委員会は、株主や金融機関などのステークホルダーなどの強い存在があり、第三者委員会の委員は利害関係がないことなどを細かに調べられたりするが、いじめの第三者委員会においては、被害者のための調査という位置づけが明文化されていても、その存在は弱く、さらに学生の期間は有限であるため、委員は学校や教育委員会が隠ぺいに走った場合などでは、一般の第三者委員会のような中立公平な立場を守ることは難しいとも言える。
さらに、その予算は学校や教育委員会などが持つわけだから、少し込み合った存在にもなり得るのだ。