親の急き立てが、後に子どもの強迫神経症に至る
「早く!早く!」と急き立てられて、いつも追い立てられていると感じる、この『切迫感』が強迫観念をつくります。
後ろから追い立てられると『早くしなければ』と焦り、自分のペースを維持できず、乱されてしまいます。
ここで強迫観念が生まれ、これが固定化すると強迫行為になっていきます。
強迫行為の代表的なものがきれい・汚いにこだわる、清潔恐怖症です。
手を洗ってもきれいになったと思えず、何度でも洗い続ける人がいます。

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そして、鍵を閉めた・閉めないの確認強迫があります。
一応の目安として、鍵を閉めたかどうかの確認のために4回以上ドアノブを引っ張ると病理と診断します。ドアノブを壊す人もいます。
ガスの元栓の確認に時間がかかるのも同じです。
「早く!早く!」と急き立てられる切迫感は、“早く”と“のろい”の対立です。
自分はのろいと思っている人には、いつも「早く」の声が聞こえています。
清潔恐怖症は、手を洗ってきれいになったと思っても、「汚い」の声が聞こえます。
この声が自分の中で聞こえてやかましいが、振り払えない事が病理です。
また、きれい・汚い、閉めた・閉めないにこだわり、囚われて、無意味な思考・行為を繰り返し、やめたいけれどやめられない。
ここには何の蓄積もなく、充実感もありません。
心の空洞化と、虚しさだけがあり、虚しいとわかっていながらやめられず繰り返すので、余計に虚しく、疲れ果ててしまいます。
これを強迫神経症といいます。