被告人 「(また少し泣き)バングラデシュに帰国し、車の商売やりたい…いま車の商売と言ってしまいましたが、車の関係の会社で働き、稼いだ金を貧しい子どもたちのために使いたい…バングラデシュには貧しい子、命を絶つ子がたくさんいる…だから自分は、困ってる子に…ボランティア…日本語、教える…日本人うそつかない、いっしょけんめい働く…うそつかない日本語できる大人に育ててあげたい…」
弁護人 「(自分の)こどもたちへの今回の返済はどうするんですか?」
被告人 「もちろんいっしょけんめい働きます。お金、一部返す…私は合計9人兄弟、7人が男、女が2人、自分は末っ子…父が遺産を持っていた…現金ではないが…それをお金に換えて、そこからも返済したいです」
弁護人 「今後の生活は、バングラデシュへ帰るということでよろしいのですか」
被告人 「(力強く)はいっ!」
検察官は、共犯者のことについて長々突っ込んだ。俺は傍聴ノートに「取調べかよっw」と書いた。wは「(笑)」だ。
起訴分以外にも同様の詐欺をやったことがあるか、という問いに対しては…。
被告人 「どうやって答えたらいいか、ちゃんと自分で言葉でまとめることができない…この件は弁護士の先生とお話ししたい…」
他にも似たようなことをやってるんだなぁ、という印象だった。
ローラさんについては、検察官はこんな形で持ち出した。
検察官 「平成19年、2007年というと、娘さんがデビューした年なんじゃないですか?」
被告人 「…そこまではちょっと覚えてません」
悪質なことをやったといまは言うが、2007年当時はそう思っていなかったのか、という問いに対しては…。
被告人 「そのときも考えましたが、パーセンテージで言うと非常に低かった…」
検察官 「第一生命は2012年、平成24年…平成24年頃、すでにお子さんは仕事で成功して有名人になっていた時期ですよね」
被告人は、しばしうなだれ、それから急に顔を起こして…。
被告人 「自分の娘が有名になったか、その時期に有名になったか、鮮明に覚えていません…」
検察官 「あなた、否認した理由として、子どもに迷惑がかかるからと…そういった気持ちは、2007年に思いつきませんでしたか?」
被告人 「(長い沈黙の後)あの時点では、何を考えていたか、思い出せません」
うーん。裁判官は質問せず、16時11分、論告。こんな部分があった。
検察官 「(この犯罪は)模倣性が強く、同種手口による詐欺は相当数、行われていると思われます」
国保も、民間の生保も、海外での療養費についてチェックしない。書類の偽造さえうまくできれば、やり放題なのかもね。
求刑は懲役2年6月。ま、執行猶予は鉄板かと思う。
弁護人の最終弁論が4分間。通訳に7分前後かもっとかかるはず。
この日、俺はまだ1階の開廷表をメモしてない。あれは16時30分で片付けられ、シュレッダーにかけられる。
どうしよう。悶え悩んだ末、16時22分、通訳が始まったところで俺は出て1階へ向かったのだった。
判決期日は、あとで書記官室へ行って聞いた。3月5日(木)10時だそうだ。
著者/今井亮一
交通違反専門のジャーナリストとして雑誌、書籍、新聞、ラジオ、テレビ等にコメント&執筆。駐車監視員資格者。著書は20数冊。ほぼ毎日裁判所へ通い、空いた時間に警察庁、警視庁、東京地検などで行政文書の開示請求。
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