先週末にかけて米国株式市場は大きく下落した。米ロビンフッダーの投機的な売買が不安を引き起こしたと説明されているが、それはこじつけだろう。真相は、行き過ぎた株価上振れの単なる反動が生じたことだ。(『馬渕治好の週次メモ「時の花」』)
※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週次メモ「時の花」』2021年2月1日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。市場急変時には号外の配信もあります。
今週(2021/2/1~2/5)の日経平均予想: 2万7,200~2万8,000円
(先週の予想:2万8,000~2万8,900円、実績値:2万7,629.80~2万8,822.29円)
最近までの、勢い頼みの株価上振れが、いずれ反動により短期下落に向かう、と唱え続けてきたが、先週はようやく調整らしい動きとなった。
日経平均株価 日足(SBI証券提供)
NYダウ 日足(SBI証券提供)
特に米国の株価下落を引き起こした理由として、株式売買アプリであるロビンフッドを利用している個人投資家の激しい売買が不安を引き起こした、と解説されているが、主要な株価指数が下落した理由としてはまったく理解しがたい。真相は、行き過ぎた株価上振れの単なる反動が生じた、ということであって、ロビンフッド等の話は、後付けで下落要因としてこじつけられているだけだと解釈する。
加えて、前号の当メモで「市場における収益改善期待が先行して行き過ぎると、かえって反動が生じかねない」と述べたように、元々収益改善期待が強いわけでもないのにそれを口実に株式を買い上げた投資家が多かったところ、その口実の中身のなさが露呈して株価が反落した、といったところだろう。
今後の日本株を含めた世界株価は、1月途中までの「浮かれ過ぎ」のツケをまだ払う必要があり、基調としては株価下落が続くだろう。ただし一本調子の下落とはならず、好材料でもないものを楽観要因だとはやして株価が上振れしたり、悪材料でもないものを悲観要因だとして株価が下振れしたりといった、方向感を失った上下動を激しく繰り返しながらの下値探りを予想している。
今週(2021/2/1~2/5)の米ドル円相場予想: 103.50~104.90 円
(先週の予想:103.20~104.30円、実績値:103.56~104.94円)
先週の米ドル円相場は、米ドル高・円安が進んだが、これは世界的な株価波乱のなかで、「リスク回避のための米ドル買い」が進んだと解説されている。
米ドル/円 日足(SBI証券提供)
しかし、確かにユーロ等欧州通貨の多くに対しても米ドル高になっているが、トルコリラ、ブラジルレアル、南アランドなど、高リスクの新興諸国通貨が先週は対米ドルで上昇しており、外貨市場でリスク回避的な投資家の姿勢が広がったとは考えにくい。おそらく、外貨市場でも、単に方向感が失われ、想定外の振れが生じた、と解釈している。
今後しばらくも、外貨の対円相場は、明確な方向感が表れず、上下動に終始すると予想する。
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今週の一枚:日経平均 ÷ NYダウ比率
米ドルに換算した日経平均株価をニューヨークダウで割った比率をみると(ただし上図では、桁揃えのため、米ドル建て日経平均を100倍している)、昨年3月以降、日経平均の相対的な優位が進んでいる。
日本株優位の背景として、新型コロナウイルスの感染者数、死亡者数などが、絶対数でも人口対比でも、米国より日本の方が少ない、という点は挙げられる。しかし、肝心の企業収益予想値については、アナリスト予想の平均値で、現状の減益率でも予想の最悪期からの上方修正幅でも、日本企業の方が不振で、日本株の優位さを正当化することは難しい。
今後世界的に株価下落が続く中で、日経平均の下落率が反動で大きくなる恐れが否定できない。
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『馬渕治好の週次メモ「時の花」』(2021年2月1日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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