例年、値動きが悪い9月相場。NY市場に調整期入りの兆候が出ており、注意が必要な状況です。20日には自民党総裁選を控え、日経平均はどう動くのでしょうか?(『山の中の超相場観』)
※本記事は、『山の中の超相場観』2018年9月1日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
突っ込み買いのチャンスがやってくる? 9月相場のシナリオは…
値動きが悪い9月相場
いよいよ9月相場なので勢いのいいことを書きたいですが、現在の日経平均は方向感がありません。2万3,000円台に到達しても1日と持たず下押しして2万2,800円台は維持しています(編注:原稿執筆時点9月1日。9月3日の終値は前週末比157円安の2万2,707円となっています)。上下どちらにもいく可能性があり、上40、下60で下方に放れていく可能性がやや高いかな、という気がしています。
そのように判断する理由は、まずひとつには、9月という月の特性です。戦後、月別の日経平均騰落率で上昇率が高い順は1月→4月→12月→11月→3月。逆に上昇率が低い順は9月→5月→10月→7月→8月。つまり9月は最も値動きが悪いのです。
無論、これはデータに過ぎないので、そうならない可能性もあります。ですが、上がりやすい月がある一方で、上がりにくい月もあるのは仕方ありません。
米国市場は調整期に入るか
もうひとつ9月に懸念するのは、そろそろNY株式市場が調整期に入りそうなことです。あまりに過熱感があるので、そろそろ利益確定が入っておかしくありません。
下のチャートは、NYダウの月足10年です。過去には乖離率が20を超えると調整が入っています。直近は今年1月から2月にかけてです。現在やや冷やしが入り下がっていますが、7月から再び上昇を始めており、9月には20にタッチしそうです。この点、要注意です。
ただし9月に入り、必ずNY市場が調整に入るかはまだわかりません。今年2月に急落した背景は過熱感もさることながら、ファンダメンタル面で買われすぎていた警戒感がありました。
以下にNYダウPERのチャートを載せたので参照ください。今年1月26日時点でNYダウPERは28.45倍まで買われています。そこから急激に調整が始まっています。現在のNYダウPERは23.47倍で調整過程にあり、決して買われすぎているわけではありません(あくまでも今年1月との比較においてですが)。現在各種経済データも好調で株式は将来の成長を見越して買われる特徴があるため、PER23倍台が買われすぎているとは一概に言えません。
ただし、現在の景気見通しが良くても、これからはわかりません。
米中貿易摩擦や北米自由貿易協定など各国とトランプ米政権は通商協議を行っていますが、その結果、継続して米国経済が好調である保証はありません。そういう死角がないか、十分に注意をしておく必要はあるでしょう。
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絶好の突っ込み買いのチャンスがやってくる?
NY市場に関しては日柄的に9月10-14日の週に、このまま上げ続けたら乖離率が20にタッチするので、注意をしたほうがいいというふうに見ています。ファンダメンタル以前の問題で、テクニカル的に買われすぎたものには冷やしが入る習性が株式市場にはあります。
日経平均に関しては来週タメをつくって、そのへんまでに2万3,000円台にようやく乗せているか、あるいは2万3,000円ラインに再三乗せられなかったことによる失望感から下放れの、どちらかの動きが予想されます。
それぐらいのタイミングでNY市場が大きく調整しないか。NY市場も9月はパフォーマンスが悪いので、注意はしておいたほうがいいでしょう。
もっとも9月の調整期は大きく突っ込む可能性がある代わりに、その時が絶好の突っ込み買いのチャンスでもあるという見方をしています。
日経平均でいえば、浅くて2万2,500円前後、中規模の調整で2万2,000円前後、大規模の調整で2万1,500円。これくらいで見ておけば間違いないはずです。それまでは余力を残しておくことをお勧めします。
9月相場のシナリオは?
9月20日には、自民党総裁選の投開票があります。それまでに株式市場が盛り上がる可能性はないのかという見方に関してですが、8月後半にトライしてできなかったことが9月に入ってできるとは思えませんし、可能性としては低いと見ています。
よくて粘ることぐらいでしょう。安定して2万3,000円台に乗せ、リスク選好の地合いに傾き上値追いの展開になる可能性は低いでしょう。
現職の安倍総理が勝利するでしょうから、総裁選そのものもあまり盛り上がらないはずです。
方向感の不透明さに嫌気したポジション解消売りに押されて、現在のもみあいレンジを下放れして総裁選の前の週にNY発で大調整が入り、ガタガタと下げたところを、総裁選の週か、9月の最後の週に狙いすましたように買いにいく。そういうシナリオです。
※本記事は、『山の中の超相場観』2018年9月1日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した全文(各種チャート図版や「これだけは身に着けておきたいテクニカル」)もすぐ読めます。
『山の中の超相場観』(2018年9月1日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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リーマンショックや東日本大震災の前にショート(売り方)ポジションを取り大暴落を大幅利益に変え、アベノミクス上昇相場が始まる前にバブル崩壊後の日経平均の長期下降トレンドは底打ちしたと判断し買い方に転換。山中株式投資塾がおくる1週間ごとの相場観です。