2021年には、4兆円市場になるとみられるフードデリバリー業界。今回は「DoorDash」を中心に、各社の決算資料を見ながら、最新トレンドを整理したいと思います。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2019年7月18日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
これから約4兆円になるといわれるフードデリバリー市場の闘い
Q. アメリカのフードデリバリーで一人勝ちしているのは誰?
フードデリバリー業界に異変が起こりつつあります。
今日は「DoorDash」を中心に、各社の決算資料を見ながらフードデリバリー業界の最新トレンドを整理したいと思います。
フードデリバリー市場へのVCたちからの熱い視線
初めにこのような記載がありました。
2015年から2018年の間にフードデリバリー系のスタートアップに対して$6.7B(約6,700億円)もの投資がなされました。
2021年にはフードデリバリー市場は$40B(約4兆円)になると推測されています。
この超巨大なフードデリバリー業界の中で、これまで市場をリードしていたプレイヤーと、今回新たにトッププレイヤーに仲間入りした2社を詳しく見いきたいと思います。
Next: これまでフードデリバリー業界を牽引してきた企業とは?
元祖横綱: Grubhub
はじめに、これまでのマーケットリーダーは明らかにGrubhubという会社でした。Grubhubの売上の推移をみると、このようになっています。
綺麗に右肩上がりで年々早いスピードで成長していることがご覧いただけると思います。19年の第一四半期の注文金額は、$1.5B(約1,500億円)に届く規模に成長しています。
Grubhubの決算資料を詳しく見てみましょう。
こちらのグラフは注文金額ベースでのコホートになります。初回注文してから長い時間が経っても、ユーザーがほぼ離脱していないことがよくご理解いただけると思います。
この資料からフードデリバリービジネスというのは、そのサービスの使い勝手が良い場合、一旦顧客を獲得するとその顧客が長期間にわたってリピート注文をしてくれる、LTVを非常に高くすることが可能なビジネスだということがわかります。
出典:同上
こちらのグラフは、青の折れ線が過去12か月間の顧客獲得コスト、オレンジの棒グラフが新規ユーザー数を示しています。
このグラフの意味するところは、Grubhubは顧客獲得コストを大きく増やすことなく、新規ユーザー数を劇的に増加させることができているということです。
顧客獲得という点では、まだフードデリバリーを体験したことがないユーザーも多いので、顧客獲得コストを増やさずに多くのユーザーを獲得する余地があるということを示唆していると言えるのではないでしょうか。
Next: Grubhubを追い抜きそうな新しいプレイヤーとは?
新横綱: DoorDash
前述のように、これまでマーケットリーダーとしてGrubhubが成長しつつ君臨してきたわけですが、実はこのところマーケットシェアは大きく落としてきています。
Grubhubを追い抜きそうな勢いで成長している新しいプレイヤーは、DoorDashという会社です。
このグラフを見ていただければわかるとおり、市場シェアという意味ではGrubhubが一人勝ちしていた状況から、DoorDashが急成長しています。
Uber EatsやPostmatesなど他社が市場シェアを増やせないでいるなか、DoorDashだけは市場シェアを大きく伸ばしています。
このDoorDashは、2013年にサンフランシスコで設立された会社で、これまでに約$2B(約2,000億円)も調達資金調達しており、ソフトバンク・ビジョン・ファンドも投資家に名を連ねています。
※参考:フードデリバリー「ドアダッシュ」の企業価値が約8000億円に―Forbes(2019/2/22)
この記事によると、すでにIPOを果たしたGrubhubの企業価値$7.2B(約7,200億円)に対して、DoorDashの企業価値は$7.1B(約7,200億円)と企業価値という点でもほぼ肉薄していると言われています。
今日の記事では、DoorDashがどのようにフードデリバリー業界で市場シェアを獲得してきているのか?という成功要因を詳しく見るとともに、フードデリバリービジネスのユニットエコノミクスを考察したいと思います。
この記事は、フードデリバリービジネスに携わっている方、BtoBtoC型のマーケットプレイスビジネスに携わっている方、配送業界に関係されている方に役立つ内容になっています。
image by: BestStockFoto / Shutterstock.com
『決算が読めるようになるノート』 2019年7月18日号『Q. アメリカのフードデリバリーで一人勝ちしているのは誰?』より抜粋
※記事タイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部による
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アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、決算情報から読みとれることを書きます。経営者の方はもちろん、出世したいサラリーマンの方、就職活動・転職活動中の方にも役立つ内容です。