少子高齢化に対して政府は、日本人を増やさず外国人を増やす政策を取ることに決めた。これは経団連のような組織が手っ取り早く安い労働力を欲しているからだ。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
学歴も資格も役に立たない、「一億総ワーキングプア」時代の到来
国が進める「移民政策」
日本政府は2025年までに外国人労働者50万人増を目指す方針を発表した。
日本政府はこれを「移民政策ではない」と頑なに言っているのだが、どう見てもこれは名前を変えた「移民政策」と言っても過言ではない。
日本は少子高齢化で苦しんでいる国なのだが、日本政府は日本人を増やす政策を取らずに外国人を増やす政策を取ることに決めた。
これは、経団連のような組織が手っ取り早く「安い労働力」を欲しているからだ。
ただし、経団連のような組織は「安い労働力が欲しいから早くしろ」と本音は言わない。「日本が多様性を増すためにもそうすべき」だとか「組織が競争力を増すためには、外国人や女性、シニアなど多様な人材が集まり、さまざまな異なる視点を持つのが重要」だとか建前のきれい事でそれを進める。
しかし、騙されてはいけない。経団連の本音はそこにない。
同じ仕事をするのに、「安い給料で働いていも良い」という人が他にいるのであれば、企業は必ず人を置き換える。だから企業は外国人労働者でも何でも安い方を求めるのである。
この流れが阻止できないのであれば、これからどうなるのか?
人がコモディティ化していく流れ
まず、「誰でもできる仕事」というのは、真っ先に安い賃金の人に置き換えられるのだから、そんな仕事を続けていればいるほど、賃金は引き下げられていく。
外国人労働者を大量に入れるというのは、そんな仕事の賃金が極限を超えて下がっていくということなのだ。
月20万円もらわないと生活できないと日本人が思っても、外国人労働者が月10万円で働くと言えば、給料は10万円の方に収斂していく。
「誰でもできる仕事」を急激にコモディティ化していく。
ここでコモディティの性質と特徴を、もう一度よく考える必要がある。コモディティというのは「日用品」のことを指すが、日用品はその多くが「使い捨て」である。
「使い捨て」するのであれば、安いに越したことはないので、誰もが安さを求める。
たとえば、100円ショップで売っているようなボールペンやハサミやプラスチック容器などは、使えれば何でもいいので誰もメーカーも原産地も気にしない。
100円ショップで買ったプラスチック容器のメーカーなど、誰も知らないのが普通だ。どこのメーカーのものを買っても同じだし、代替可能だから気にする必要もない。
そして、すぐ壊れても「使い捨て」してまた買い直せばいいと思う。また、多少品質が悪くてもどうせ「使い捨て」なのだからそれはそれで割り切ろうと思う。どうせ、それはどこにでも売っているものだ。
そうであれば、コモディティは安ければ安いほどいいということになる。最初から「使い捨て」にするつもりであれば、それを高価格で買うという発想にはならない。
「誰でもできる仕事」がコモディティ化するということは、企業にとっては「それに関わる人間」を使い捨てにできるということでもある。「それに関わる人=コモディティ」なのである。
Next: 企業も「誰でもできる仕事」をする人間を日用品のように使い捨てする
コモディティは安物の使い捨てと化す
「誰でもできる仕事」に関わると、賃金が下げられたあげくに「使い捨て」されてしまう。
人間が日用品を使い捨てするように、企業も「誰でもできる仕事」をする人間を日用品のように使い捨てする。
他の人で代替可能な仕事をしている人はコモディティ化する。
人間をコモディティ(日用品)と同列にするのは、よくよく考えれば冷徹な発想だが、企業は人間を「人材」と言って材料のように扱っているのだから、明らかに冷徹な発想で人間を扱っている。
人材というのは取り替え可能な人間を指す。だから企業は、材料を取り替えるように人材も取り替えるのだ。
すべての仕事が「コモディティ化」しうる
使い捨てと言えば、レジを打つ仕事や、ウエイトレスや、受付嬢のような仕事を思い浮かべるかもしれない。しかし、現代の「コモディティ化した仕事」というのはそれだけではない。
たとえば、会計士や税理士のように一見専門職に見える仕事も「コモディティ化した仕事」である。あまりにもその資格を取る人が多すぎて、「他の人でも代用できる」という仕事になってしまっているからだ。
大量に資格保持者がいて、それが大きな価値を持たなくなっていると、資格を取っても食べていけない。資格がコモディティ化しているからだ。自分だけは専門職と思っても、社会から見ると専門職ではなくなってしまっている。
学歴では優位にならない
これは学歴にも言える。
大学卒業という学歴は大学に行く人が少なかった時代では意味があるものだったが、大学全入時代になるとそれはコモディティ化してありがたくも何ともなくなった。
コモディティ化したものに大金をかけていると、投じた資金を取り返せず、結局は不幸なことになってしまう。
コモディティ化したものは、買い叩かれて最低賃金にまで落とされるのだ。
そこに例外はない。すべてのコモディティは、安物の使い捨てと化す。
Next: 苦労して取った資格もコモディティ化。どうすればワーキングプアを抜けられる?
苦労して取った資格もコモディティ化
「資格はないよりあった方がいい」と言われる。しかし、それが真実とは限らない。その資格がコモディティ化していたら費用対効果が得られない。
苦労して取ったその資格がコモディティ化していると、かけた労力と金額と時間が無駄になってしまう。
資格が重要なのではなく、それによって自分がコモディティ化から抜け出せるかどうかが重要なのである。自分がコモディティ化するのは何としてでも避けなければならない。
たとえば、自分のやっていることが、「他のみんなもやっている」ものであり、なおかつ「誰でもできる」ものであれば、それはコモディティ化していることの証拠でもある。
コモディティ化しているところで生きていると、必ず買い叩かれてワーキングプア化してしまう。
コモディティ化から抜け出せ
逆に「自分でなければできないこと」「自分独自の専門性を持っていること」「自分がいなければ回らないこと」を持っている人は、今の時代に強い人でもある。
コモディティ分野に生きていても、そこに独自の手法や知識や経験や個性を付け足して、特別なものを持つ人になれば、コモディティ化から脱することができる。
それが時代に合致してれば、ワーキングプア化からも抜け出すことが可能になる。
時代が求めていて、なおかつ他と違って、他の人では代用できず、他の人が持っていない深い知識・才能・能力・経験を身につけることに成功したら、自由自在に生きていける。
もちろん、それは言うほど簡単なことではない。
深い知識を手に入れるにも時間がかかる。才能も長い時間をかけて磨かなければならない。経験を積むにも長い時間を要する。
しかし、それができればこれからの時代に個人で生き残ることが可能になる。
果たしてあなたは、自分がコモディティ化から脱する武器を持っているだろうか?
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年10月16日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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