日本証券業協会の調査によると、日本の投資家の過半数を60歳以上が占め、年収は300万円未満が45.4%で最多となっています。多くの人が収入が途絶えたり、先細りする状態になってから、労働収入の代替え手段として、投資を検討しているということです。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編)
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2019年10月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
ビジネス書著者、投資家、ビジネスオーナー。30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、自らの投資経験からマネーリテラシーの向上が不可欠と考え、啓蒙活動にも尽力している。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが11万部に。著作累計は45万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。
日本人投資家は危険すぎる?バフェットの名言から学ぶ投資の鉄則
1. 投資とは、収入を増やす手段ではない?!
今回は、「名言に学ぶシリーズ」の続編として、天才投資家バフェット氏の名言を取り上げます。本特集は、名言の中に秘められた先人の知恵を借りつつも、彼らと私たちの間に横たわるギャップに目を向けることで、名言を鵜呑みにすることなく、そのエッセンスを取り入れられるようになることを目的としています。これ以前の名言につきましては、バックナンバーをご覧いただければと思います。
誰しも、自らお金を失おうとする人はいないでしょう。なのにお金を失ってしまうのは、失う危険性に目を向けないことが一因です。
ところが、失う危険性に目を向けると、今度は逆に投資をすることが怖くなってしまいます。
このような状況の中でも投資を行い、勝てる方法というのはあるのでしょうか?
【正しいリスクの取り方を知らなければ、投資で成功することはできない】
それでは、今回も引き続き、世界3大投資家の1人であるウォーレン・バフェット氏の名言を紐いていくことにしましょう。解説する名言はこちらです。
《名言ピックアップ その1》
ルール1:お金を失わない
ルール2:ルール1を忘れない
ルール3:借金をしない出典:『カリスマ投資家の教え』(著:川上穣/刊:日経ビジネス人文庫)
上記は、インターネットなどでしばしば目にする名言ですが、「ルール3があったことを知らなかった」という人は意外に多いのではないでしょうか。
これは憶測に過ぎませんが、今は証券会社やFX会社などでも、普通に信用取引(借金)を使って金融商品を購入できるため、ルール3の存在を知られてしまうと、都合の悪い人がいるのかもしれません。
前回Vol.144でも、バフェット氏がレバレッジ(信用取引)の危険性について述べた箇所を、名言として取り上げました。
氏がこれだけ借金について言及しているということは、それだけ誤解している人が多く、釘を刺しておきたい想いがあるのだと思います。
<個人投資家の半数が60歳以上、労働収入が途絶えてから始めている>
2018年7月、日本証券業協会調査部が全国の20歳以上の投資家に対して行い、5,000人から有効回答を得たインターネット調査「平成30年度個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」というのがあります。
それによると、回答者の約6割が男性であり、かつ60歳以上が過半数を占め、中でも70歳以上が3割を占めています。
回答者の年収は300万円未満が45.4%と多く、500万円未満(23.8%)を含めると7割近くになります。職業も「無職・年金のみ(24.9%)」「役職なしの会社員(19.5%)」「専業主婦・主夫(18.9%)」と続いています。
彼らが証券投資に興味を持ったキッカケとは、「今の収入を増やしたいと思った(38.4%)」「株主優待があるから(35.6%)」「将来の生活に不安があり、必要性を感じた(23.6%)」といったものでした。
ここから見えてくるのは、多くの人が収入が途絶えたり、先細りする状態になってから、労働収入の代替え手段として、投資を検討しているということです。
労働収入がなくなり、年金も思ったように出ないとなると、もう後がなくなります。だから余計に、少ない元手を何とかして増やそうとして、信用取引などに走ってしまうのでしょう。
Next: 投資にはリスクがある。バフェットが念押ししてまで伝えたいこと
<投資は余剰資金でやるのが鉄則>
ご存じの通り、投資にはリスクがあります。つまりお金を失う可能性があるため、基本はお金を失っても大丈夫な状態にしてから、投資をすることが鉄則となります。
要は、投資を行う際には「労働 or 事業収入か、お金を失っても問題ないだけの資産があること」という前提条件が付くわけです。
ですから、リスクを取るような投資は、基本的には何らかの収入がある時にしかできません。収入がなくなった後は、通常は保守的な運用に切り替えるのが普通で、そもそもリスクの高い投資をすべきではありません。
バフェット氏が、わざわざ「ルール2:ルール1(お金を失わない)を忘れない」と念押ししているのも、人々が簡単にお金の増えそうな話に乗ってしまい、結果、お金を失うことが多いからなのでしょう。「ルール3:借金をしない」の借金に至っては、お金を失う行為に等しい、ということです。
<兼業投資家が大きな利回りを狙っていくべきは、投資ではなく本業>
おそらくバフェット氏自身は、お金を増やすことと失うことを、イコールで見ているでしょう。リスクを取らなければ、投資でお金は増えません。
投資を行えば、お金は増える可能性も減る可能性もあります。さらに「投資をしない」という選択肢もある中で、「投資をする」という決断を下し、かつ成功を収めたければ、正しいリスクの取り方を知っていることが不可欠です。
仮に、これから投資をしようとしている人が、商品のリターンしか目に入っておらず、リスクを理解していないとしたら、「リターンとリスクのどちらがより可能性が高いのか?」を比べることもできないでしょう。
比較ができない以上、本当の意味でのリスクを取ることなどできません。
私たちビジネスパーソンは、普段は仕事(本業)をしている、という意味で、いわば兼業投資家です。
お伝えしたいのは、「私たちのような兼業投資家が、一番大きな利回りを狙っていくべきは、投資ではなく本業」だということです。
プロとしての勘や経験を培ってきた本業においてであれば、ある程度未来の予測ができ、勝負時がいつなのかも熟知しているでしょう。
しかし、それをそのまま投資に持ち込んでしまうと、思わぬ火傷を負いがちなのです。
Next: よく知らないベンチャー企業には飛びつくな。バフェットが見つめる未来とは?
【バフェット氏は「自分の身近にあるもの」に投資する】
次は、バフェット氏が「投資をする際、どこに着目すべきか?」ということを語った一文です。
《名言ピックアップ その2》
「鉄道は素晴らしい事業です。米国で永久に存在するからです。テレビの製造などは日本に移りましたが、鉄道はどこにも行ったりはしません」
出典:『カリスマ投資家の教え』(著:川上穣/刊:日経ビジネス人文庫)
通常、多くの投資家は「将来性のある分野に投資をして、資産を一気に増やしたい」と考え、自分がよく知らない分野に投資をしようとします。
一方、バフェット氏は、そうしたベンチャー投資とは一線を画しています。
氏が率いる投資会社、バークシャー・ハサウェイは2010年、米鉄道大手のバーリントン・ノーザン・サンタフェを約265億ドルで買収しました。
名言を引用した書籍『カリスマ投資家の教え』によると、当時、買収金額が莫大であったことや、鉄道が規制の対象であったことなどから、この買収に難色を示す声が大きかった、と言います。
それはちょうど、2008年に発生したリーマン・ショックによって、金融危機が世界に波及していた時期と重なります。アメリカはこの危機から脱するために、大規模な金融緩和を行っている最中でした。
しかしバフェット氏には、経済が回復すれば、物資の輸送に鉄道が必要になる、という確信がありました。社会全体が将来への不安に囚われていた時に、氏はすでにその先を見ていたのです。
<投資に必ずしもワクワク感は必要ない>
鉄道というのは、社会のインフラです。インフラは、社会に不可欠なものである反面、利益を出しにくい、という一面があります。
たとえば日本でも2010年、航空大手のJALが経営破綻したように、インフラ事業は高コスト体質になりやすい反面、ユーザーは常に安さを求めてきます。
一般に、成長を続けている国でなければ、採算割れしやすいのがインフラ事業ですが、アメリカには潜在能力がありました。
そもそも、投資とは未来に対して行われる以上、「自分がよく理解している分野」や、「毎日の日常と密接に関係している商品」などを投資対象としたほうが、予測をしやすいのは確かでしょう。
今回の名言は、「必ずしも投資にワクワク感は必要ない」という、氏からのメッセージなのではないかと考えます。
バフェット氏が投資先として選んだのは、将来も存在しているかどうかわからないベンチャー企業ではなく、まさに自分の身近にあるものでした。
Next: 投資にワクワク感は不要? 一にも二にも、 “実需”が投資のキーワード
一にも二にも、 “実需”が投資のキーワード
ベンチャー企業への投資は、当たれば大金が転がり込んでくるイメージがあり、ワクワクするかもしれません。
しかし、それは「期待半分、不安半分」ということですから、投資においては、よい兆候だとは言えません。「確信が持てない投資は、すべきではない」というのは、私も氏と同意見です。
投資を検討する際は、自分の好き嫌いとは切り離して、「世の中の人が必要とするかどうか?」という目線を持つことが大切です。
一にも二にも、 “実需”が投資のキーワードなのです。
2. なぜ、バフェット氏はアマゾン株を購入したのか?
指標に注目することで、見えなかった事実が浮かび上がってくる
お金持ちのバフェット氏が金(Gold)を嫌いな理由
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今後の特集スケジュール(予定)
2019年11月
第2回:(Vol.150)賢人の名言から学ぶ10(11月11日配信)
第3回:(Vol.151)最先端の資産管理術(11月21日配信)
2019年12月
第1回:(Vol.152)投資の身近な疑問に答えるQA集11(12月1日配信)
第2回:(Vol.153)賢人の名言から学ぶ11(12月11日配信)
第3回:(Vol.154)金融AIはどこへ向かっている?(12月21日配信)
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- 【号外】日常的に繰り返される“情報操作”に対抗するには?(11/8)
- 【Vol.149】「投資のことから人生相談まで!」~投資の疑問に答えるQ&A集(10)〜(11/1)
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『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』(2019年10月11日号)より一部抜粋
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