金持ちがSNSで貧困層を煽っている。「稼げないお前らが悪い」と本気で思っている。その他大勢の庶民は黙って耐えているが、それは今だけかもしれない。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
「日本の成金を襲うのは簡単」制御できない憤怒がもたらすもの
わずか1%の成功者が、残り99%の貧民をあざ笑う
インスタグラムでは多くのセレブたちが高級品を見せびらかし、SNSでも有名無名の「成金」たちが、自分の収入の自慢や高額な預金残高を自慢する。
そして、何も持たない層に向かって「正直、男で稼げないならクズ」だとか「カネのない奴は価値がない」とか「カネが欲しければオレのように稼げばいいじゃん」とか「まだ消耗してんの?」と言って煽り立てている。
現在の弱肉強食の資本主義とそこから生まれる格差社会は、「資本」を軸にして、極度に成功したわずか1%の成功者と、まったく成功できない底辺の99%以上もの貧困層に区分けする社会である。
そして、その極度に成功した人間たちが、インターネットで自らの私生活をさらして極限まで富を見せびらかし、何も持たないアンダークラス層を嘲笑したり、愚弄したり、煽ったり、馬鹿にしたりすることで自己満足を得る。
社会は多くの雇用者を突き放しており、終身雇用も終焉し、いまや非正規雇用者の割合は40%近くにまで増加している。
1990年代のバブル崩壊、そして2000年代からの非正規雇用者の爆発的増加は、困窮する低賃金層を増やしている。
しかし、彼らの貧困は「自己責任」にされ、「正直、男で稼げないならクズ」と嘲笑されるのである。
今は、明確にそのような社会になっている。荒廃していると言っても過言ではない。しかし、経済的に成功した層がアンダークラス層を嘲笑したり愚弄したりできるのは、今だけかもしれない。
何も言い返せない私たち
こうした弱肉強食の資本主義が生み出した格差社会と、インターネットが生み出した成功者たちの可視化は、最終的に何をもたらすのか。
それは、アンダークラス層の「制御できないほどの憤怒」である。
今の日本のアンダークラス層は、実のところ一部の成功者たちにかなり「舐められている」ような状況である。
「稼げないならクズ」とか「価値がない」とか言われても黙って耐えているし、そう言われたら本当に「一理ある。自分はクズで無価値かもしれない」と思って絶望感を感じるほどナイーブでもある。
「まだ消耗してんの?」とか言われても言い返すことができず、資本主義で消耗している自分を情けなく思ったり、惨めに感じたりして傷つく。
Next: SNSにあふれる成功者たちの成金アピール。貧困層が復讐する日は近い?
SNSにあふれる成功者たちの成金アピール
弱肉強食の資本主義の中で、「カネがすべてではない」という言葉はあまりにも虚しく、そして弱々しく説得力がない。高級時計を買ったとかスポーツカーを買ったと自慢している成金の方が、説得力ある生き方のように見える。
成金たちにしてみれば、アンダークラス層はビジネス的な発想や行動や努力をしないからいつまで経っても成り上がれないのだと考えているし、彼らにとっては「カネが欲しければオレのように稼げばいいじゃん」というのは、煽りでも何でもなく本心から出た「アドバイス」のつもりでいる。
しかし、世の中は誰もが資本主義的な発想を持つわけではないし、資本主義的な行動ができるわけでもない。むしろ、資本主義とはまったく何の関係もないところに人生の関心がある人の方がほとんどだ。
しかし、経済的に大きな成功を収めた人間たちは、いまやSNSで自分たちの成功をとことん誇示することができるようになっており、それを誇示すると同時にアンダークラス層を見下すこともできるようになっている。
その結果、アンダークラス層の少なからずが徐々に「制御できないほどの憤怒」を、SNSで成金を可視化している人間たちに持つようになっていく。
そして、彼らはいずれ遅かれ早かれ「ある事実」に気づく。
海外の金持ちは常に「危険と隣合わせ」
南米の金持ちたちは、自分たちがいつ誘拐されるのか恐れながら生きている。
金持ちは常にアンダークラス層の「標的」になっており、うかうかしているといつでも誘拐され身代金を要求され、交渉を間違えると惨殺される。
そうでなくても、嫉妬や憎悪から「制御できないほどの憤怒」を持たれ、狙撃されたり襲撃されたり妻や娘がレイプされたりするような危険が待ち構えている。成功した本人だけでなく、家族も子供たちもすべてが「標的」なのだ。
そのため、金持ちのほとんどは守衛付きの邸宅に住み、街に出る時もボディーガード付きである。どこでも好きなところをブラブラ歩くような自由はまったくない。「制御できないほどの憤怒」から身を守るために汲々としている。
欧米でも、それほど極端ではないにしても、カネを見せびらかしている成金は常に「制御できないほどの憤怒」の対象となって、誘拐や襲撃などの対象になるので、ボディーガード付きがほとんどである。
「隙があったら殺される」という中で生きている。
Next: 日本の成金を襲うのは簡単。制御できないほどの憤怒がもたらすものは…
日本の成金を襲うのは非常に簡単な仕事である
それに比べて、日本の成金は今のところかなり無防備だ。
ひとりでそこらを適当に歩いているし、移動でも新幹線のグリーン車みたいなものを使って実に襲撃しやすいところに身をさらしている。
住居も守衛がいるようなセキュリティ対策がないところに住んでいる成金は稀だ。ほとんどは監視カメラが数個あるだけの、普通の営業マンですらも突破できるような杜撰なオートロック式のマンションに住んでいる。
そこから普通にエントランスに出入りして、入口を張っているだけで身柄を捕捉できるような行動をしている。
つまり、日本の成金を襲うのは非常に簡単な仕事である。つまり、日本の成金たちを襲って彼らからカネを奪うという「ビジネス」は、今がブルーオーシャン(未開拓市場)なのである。
制御できないほどの憤怒で突き進む人間が忽然(こつぜん)と現れる
日本の無防備な成金たちを襲ってカネを奪うという新たなビジネス……。上から目線で嘲笑してくる「成金ども」に制御できないほどの憤怒を持った人間が、それに気づくのはそれほど遠い未来ではないはずだ。
今はまだ「稼げないならクズ」と言われてもアンダークラス層は黙って耐えているかもしれないが、言うまでもなく人間の忍耐力には限度がある。
強いストレスを感じ、閉塞感を打ち破ろうとする激しい感情は、いずれどこかで爆発する。
社会に対する怒り、自分を嘲笑する者に対する憎悪は、もはや理性や法をも超越して噴き上がる。成金に「クズ」と言われたら、当然のことながら怒りと憎悪の矛先は、それを言った成金に向かうのである。
それは、別に予想外な出来事ではない。
Next: 世界では「誘拐ビジネス」が定着。日本だけが例外というのはあり得ない
日本だけが例外というのはあり得ない
「成金どもはカネを持っているのだから、ヤツらが俺たちをクズというのであれば、お前たちから奪うことで俺が成り上がる」と思う人間がいずれ登場する。
「カネのない奴は価値がない」というのであれば、「お前から奪って価値のある人間になってやる」と思う人間が生まれる。
「カネが欲しければオレのように稼げばいいじゃん」というのであれば、「お前を襲撃して奪って稼いでやる」と行動する人間が生まれる。
「まだ消耗してんの?」というのであれば、「お前を襲ってお前の命を消耗させてやる」と、制御できないほどの憤怒で突き進む人間が忽然と現れる。
弱肉強食の資本主義がより苛烈になり、社会を荒廃させ、アンダークラス層を行き場のない袋小路に追い込んだら、必ずそのような現象が経済的な成功を誇示する人たちに怒りの矛先が向かう。
「あるところから奪う」「憎悪を感じる人間から奪う」というのも、弱肉強食の資本主義ではビジネスになり得る。
何しろ「結局はカネ」という価値観には、善悪の感情が抜け落ちているからである。
現に、世界は金持ちから奪う「誘拐ビジネス」が定着しているのだ。日本だけ例外というのはあり得ない。いずれ、日本にも誰かがこのビジネスの旨みに気づく。
日本のアンダークラス層は、まだそこに気づいていない。しかし、もうそろそろ誰かが気付き、制御できないほどの憤怒の中で行動を開始するのではないか。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年12月11日)
※タイトル・見出し・太字はMONEY VOICE編集部による
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