そもそも消費税は引き上げる必要があったのか。消費税を引き上げたら景気が悪化するというのは分かっていた。それなのに政府は消費税を引き上げた。新型コロナウイルスで景気が悪化したことによって「消費税の引き上げで景気が悪化した」という側面は忘れられるかもしれない。しかし、新型コロナウイルスのダメージが来る前に、日本はすでに消費税引き上げでダメージを受けていたのだ。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
結局、消費税は日本のためになっていない
2019年10月に消費税が引き上げられて、景気動向指数は一気に悪化した。GDP速報値もマイナスに転がり落ちた。その後に中国の新型コロナウイルスの感染が世界を覆い尽くし、日本も未曾有の危機に落ちようとしている。
消費税は税収の大きな柱に育った。そして財務省は、さらなる税収を手に入れようとして消費税をどんどん引き上げてきた。
しかし、消費税は「消費をしたら罰する」というべき性質の税金なので、消費税を上げれば上げるほど人々は余分にカネを取られるのに嫌気がさして消費しなくなる。
実際、消費税10%になってから「普段通りだと支払いが高くなるので買い物を10%分減らした」という層が増えた。消費は「減った」のだ。
人々がこうやって消費を控えるようになれば、当然のことながら景気は悪化する。景気が悪化すれば企業はリストラしようとする。リストラされた人はモノを買わない。ますますモノが売れなくなる。負のスパイラルが続く。
そうなれば最終的に税収は減ってしまう。結局、消費税は日本のためになっていないのだが、財務省はそれを止めようとしない。
「消費税ゼロ%」でダメージを受けた国民をまとめて救える
しかし、2020年4月現在。世界中が新型コロナウイルスで壮絶な経済危機に直面しており、日本もまた大ダメージから逃れられない状況になっている。人々は景気悪化に飲まれて収入が減っていく。
特にダメージを受けるのは、非正規雇用者だ。彼らは2020年3月の時点で、すでに解雇・雇い止め・無給の休業・請負の打ち切りなどで収入が極度に不安定な状態に陥ってしまっている。
2020年3月31日。東京新聞は『感染拡大 雇い止め連鎖 非正規含め失職1000人迫る』として、現場が危機的な状況になっていることを示唆している。厚生労働省も「新型コロナで解雇や雇い止めが確定した人は994人」と発表した。
小池都知事は3月30日に「夜の飲食店の自粛」を要請しているのだが、これは居酒屋・キャバクラ・ホスト・クラブ・バー・風俗などの「歓楽街」の人々全員に大きなショックを与えた要請だった。
消費税の引き上げでただでさえ「景気が悪くなってしまった」という実態があったのに、新型コロナウイルスで生きるか死ぬかのどん底に叩き落とされるのである。
「自粛による経営悪化は粗利を全額補償する」「全国民の生活を保障するために給付金を出す」と宣言してからの自粛であればまだ助かったが、何も保障しないで自粛だけを要請したので「もう終わりだ」と思った飲食店経営者・サービス業者は多かったのではないか。
そして、客が来ないと一気に食べていけなくなるキャストも大ダメージを受けたはずだ。
政府が新型コロナウイルスでダメージを受けてる全国民を、一括で一気に救う方法があるとしたら「消費税ゼロ%」にすることだ。国民のすべてがこれによって同時に恩恵を受けることになる。
Next: そもそも消費税は引き上げる必要があったのか。消費税を引き上げたら――
「消費税の引き上げで景気が悪化した」という側面
そもそも消費税は引き上げる必要があったのか。消費税を引き上げたら景気が悪化するというのは分かっていた。それなのに政府は消費税を引き上げた。
新型コロナウイルスで景気が悪化したことによって「消費税の引き上げで景気が悪化した」という側面は忘れられるかもしれない。しかし、新型コロナウイルスのダメージが来る前に、日本はすでに消費税引き上げでダメージを受けていたのだ。
消費税が上げられると人々は消費しなくなるのだが、消費税はすべての業種に網がかかるので、当然のことながらみんなまとめて業種に悪影響が及んでいた。消費税が上がったことによって全業種の全企業が一斉に景況悪化に見舞われていた。
2019年10月に消費税が10%になったために、あらゆる企業が「売上が減っていく以上、人を雇い続けることはできない。解決するためにはリストラするしかない」と考えてそれを実行しつつあったのだ。
そこに新型コロナウイルスが降って湧いたように現れた。新型コロナウイルスは消費税10%でダメージを受けていた日本経済をさらにどん底に突き落とした。
これから、あらゆる業種のあらゆる企業が非正規雇用者を切り捨て、それでもダメなら社員を切り捨てることになる。すべての企業がそれをやるとどうなるのか。社会は失業者の嵐になっていく。
ますますモノを買える人がいなくなる。売上も利益も減る。そうなると、企業はさらに厳しい立場に追い込まれていく。消費税10%と新型コロナウイルスのダメージは、間違いなく日本経済を轟沈させてしまう。
そのような社会情勢になったら間違いなく政府に対する信頼や支持は消えるので、政治的混乱も湧き上がる。政治が混乱すると、ますます経済的な安定も消えて、景気回復も遠のいていく。
消費税は「消費をすれば罰する」という法律
消費税10%とコロナで日本経済は未曾有の危機に落ちる。「恐慌になる」と言っている人もいる。リーマンショックなど比ではない巨大ショックが今まさに襲いかかってきている。
そうであれば、消費税を一気にゼロ%にしてしまって、経済的ダメージを受けた国民を救済することが政府のためにもなるということが分かるはずだ。
消費税は「消費をすれば罰する」という法律だ。
買い物をしたら政府が横から飛び出してきて、「消費した罰だ」と言って私たちの財布から10%も毟り取っていく。そうなれば、誰もが消費にうんざりして何も買わなくなっていく。
Next: 日本の内需を破壊し、日本の景気を破壊し、日本の経済を破壊するのが消費税――
黙って消費税を10%も払い続けるつもりなのだろうか?
日本の内需を破壊し、日本の景気を破壊し、日本の経済を破壊するのが消費税なのだ。
消費税を取り入れたのは1989年だが、それ以後、日本は経済的衰退に見舞われて、消費税がアップするたびにGDPも落ち込んでいる。
1990年代から現在までの日本のGDP成長率の平均はわずか1%である。マイナスの年も何度もあった。つまり日本は30年間、まったく成長しなかった。
1990年のバブル崩壊は日本の異常な景気を吹き飛ばしたが、そこに政府は1997年に消費税を5%にするという抱腹絶倒の経済政策を行って日本経済を自殺に追いやった。
不景気で消費を回復させなければならない局面で消費税を上げたのだから、どうかしている。税収を増やすことに躍起になって、逆に日本を殺そうとしているのが財務省であり、消費税を支持する一部の政治家である。
国民は今度の今度こそ「消費税を撤廃しろ」と叫ばないといけないはずだ。凄まじい経済的ダメージが襲いかかっているのに、黙って消費税を10%も払い続けるつもりなのだろうか?
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年4月13日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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