韓国で再びコロナ感染者数が急増している。そんな中、医師たちがストライキを決行して、患者の手術日程に影響が出る事態となっている。医療崩壊必至の状況だ。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2020年8月23日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
韓国でもコロナ「第2波」か
韓国で再びコロナ感染者数が急増している。そんな中、医師たちがストライキを決行して、患者の手術日程に影響が出る事態となっている。
いったい今、韓国で何が起きているのだろうか? 今回は韓国の最新状況と、「K防疫」と言われる対抗策について解説したい。
まずは、新型コロナウイルスの感染者数から見ていこう。
累計感染者数は17,399名、死者は309名(8月23日時点)
韓国の新型コロナウイルス感染者数は、夜の街での大規模感染から始まって、しばらくは2桁台で推移していた。それが先週から急に増えだしている。
朝鮮日報に掲載されていたデータを5chの有志がまとめている。それによると、感染者数の推移は以下の通りだ。
データ出典:韓国中央防疫対策本部
17日に197人と一気に増えてから、18日に246人、19日は297人、20日は288人、21日は324人と感染拡大が急増しているのが見て取れるだろう。幸い、死者の方は増えてないが、これは世界的な再流行にも一致する。
これが第2波と呼べるものか。定義はわかってないが、韓国もこのまま行けば今週には1,000人単位で増加する可能性もある。
「集団デモ」に最高刑
そんな危機的な状況のなか、韓国政府はとんでもないコロナ対策を強硬する。なんと、集団デモなどコロナの防疫活動を妨害するような行為をした者には、最高刑を求刑するというのだ。
聯合ニュースの一部を読んで欲しい。韓国の秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の談話が紹介されている記事だ。
秋氏は「(韓国は)ここ数カ月に世界最高の防疫模範国という賛辞を受けたが、このところの一部の人の無責任な行動で新型コロナウイルスの流行が第2波の入り口にさしかかっている」と述べ、深刻な状況にもかかわらず当局の防疫活動を妨害し、国の防疫体系を無力化させる行為が頻繁に起こっていると指摘した。
同氏はこのような行為は国民の生命権を侵害し、国の存立を脅かす重大な犯罪だとした上で「法務部は防疫活動を妨げる一切の行為に対して任意捜査、強制捜査など法が許すあらゆる手段を総動員して厳しく対処する」と述べ、特に悪質な行為については身柄を拘束しての捜査を原則とし、法で定められた最高刑を求刑すると強調した。
なんと最高刑を求刑するというのだ。
Next: 10人以上が集まれば最高刑も!? 真の目的は「反政府活動の阻止」
国民を脅迫する韓国政府
「妨害行為」とみなされる具体的な事例については、以下となっている。
秋氏は、具体的な防疫活動の妨害行為として▼集合制限命令違反▼虚偽資料の提出など疫学調査の拒否・妨害・回避▼防疫関係者への暴力▼故意に連絡を絶つ・逃走するなどの行為▼組織的な検査拒否や扇動──を挙げ、国民に対して政府の防疫指針に積極的に協力するよう呼び掛けた。
「国民に対して政府の防疫指針に積極的に協力するように呼びかけた」とあるが、最高刑を求刑するとの発表は、どう考えても「脅迫」である。
協力ではなく、強制しようとしている。つまり、左翼が大好きな「恐怖政治」であろう。
なぜなら、コロナを理由にすれば何でも規制できるのだ。これは先日に起きた5万人規模の反政府デモも対象となっている。10人以上は集まってはいけないのだ。
つまり、コロナを利用した「反政府活動の阻止」が本当の目的である。
コロナ強硬策で支持率急回復
支持率が39%と落ち込んでいた文在寅政権にとって、反政府活動の活発化はなんとしても防ぎたいところ。そして、なぜかこのような強硬策が支持されて、最新の支持率では47%までに回復したのだからまったく理解できない。
3ヶ月で39%まで落ちた支持率が、コロナへの強硬対応で回復。まさにコロナ様様である。
ただ、いくら最高刑を求刑するとか、逮捕すると脅迫しても、韓国国民がそれを守るとは限らない。10人以上のデモや集会を禁止しても、まず守られないだろう。
そういう意味では、今後、コロナ感染拡大が抑えられるかは未知数だ。
そんな中、韓国の医者たちが「ストライキ」を始めた。信じられないかもしれないが、韓国では医者がストライキするのだ。
Next: 「医者を増やそう」に反対!現職医師のストライキで医療崩壊へ
「医者を増やそう」に反対!現職医師のストライキで医療崩壊へ
前述の通り、韓国ではコロナ防疫活動の妨害行為が悪質な場合、最高刑を求刑して身柄を確保される。
それならば、医師のストライキはどうなのか?
医師というコロナを治療する立場の者が、ストライキをして患者を治療しない。誰が見ても、極めて悪質なコロナ防疫活動の妨害・阻止である。
なので、韓国の法務部長官はストライキを行った医師を全員、逮捕して免許剥奪などの厳しい行政処分を行う必要があることになる。ただし、それは無理な話だろう。
医師たちのストライキは数千人規模であり、韓国政府の決めた強硬策を当てはめれば、医療崩壊は必至となっている。
そもそも、医者が足りないから、将来的に「医者を増やそう」という政府の案に反発してストライキをしているのだ。これでは何の意味もない。
つまり、医師にストライキされた時点で韓国政府や与党の敗北は必至。だから、だんだんと韓国政府も強気の対応から、「話し合おう」と言い出す始末。
恐怖政治を敷いて反政府デモを規制する目的も、医師には通じない。そして、医師が逮捕されないなら、他の反政府活動家らにも通じないのだ。
医療団体は敵に回せない。「反政府活動の阻止」は不可能に
以上の理由から、ここまで解説してきた韓国政府の狙いはすべて机上の空論ということになる。
長々と解説しておいて、最後にまったく無意味という結論を出すのはどういうことかと突っ込まれるかもしれない。
しかし、世の中には敵に回せない団体がいくつか存在する。その1つが医療団体である。なんせ、数千人の医師たちが一斉に職場放棄するだけで、医療現場は崩壊するのだから。
しかも、逮捕して免許剥奪などをしたところで、医者不足がさらに深刻化するのみだ。ストライキを理由に逮捕されても、最終的には無罪放免だろう。
医者のデモは許して、他は取り締まる。そんなダブルスタンダードに国民が納得するはずもない。
しかし、医師のストライキはここからが本番だ。前代未聞の医師のストライキがどう帰結するか。私は興味深く見ている。
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- 429回「韓国で再び急増した新型コロナウイルス+医師のストライキで医療崩壊必至!」(8/23)
- 428回「韓国版ニューディール政策の一環?韓国のユニークな雇用に抱腹絶倒!」(8/16)
- 427回「8月4日に日本製鉄の株式が現金可能となったが同社が即時抗告して長期化へ」(8/9)
- 426回「イースター航空破綻は韓国航空危機のただの序章に過ぎない」(8/2)
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『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』(2020年8月23日号)より一部抜粋・再構成
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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