パチンコは娯楽ではなく「違法な賭博」である。警察や政治家や官僚を抱き込み、我が物顔で営業を続けるこの違法ギャンブルによって、日本人は無理やり堕落させられてきた。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
「パチンコは高齢者しかやっていない」は嘘
日本人はいい加減に駅前にパチンコ店が堂々と営業していることの異常さに気が付かなければならない。パチンコは決して娯楽ではない。それは「違法な賭博」である。
現代の日本に違法な賭博場が駅前にあるというのはおかしいではないか。まして、それが数十兆円もの規模の産業として成立しているということ自体がどうかしている。
最近、パチンコ屋の問題を語る上で、「パチンコはすでに高齢者しかやっていないので放っておけば自然消滅するのではないか?」という声もあがっているのだが、はっきり言って、その認識は嘘っぱちだ。
日本遊技関連事業協会が2020年9月18日に出した『遊技業界データブック2020』のパチスロ参加人口の推移によると、どうなっているのか。
今のパチンコ屋で最も参加人口が多い年代は30代であり、その次に10代・20代がくる。そして次に40代がきて、60代以上はやっとその次だ。つまり、パチンコは依然として若年層や30代を取り込み続けて存続しているのである。
2015年から2019年までのデータはずっとそうだ。まだまだパチンコ屋は若年層を取り込み続けて存続し続ける。それが駅前に林立しており、人々から莫大な金と時間を奪っている。
ギャンブル依存症を狙って作り出す
賭博(ギャンブル)は射幸心を煽って人間を白痴化する危険な性質がある。
「もしかしたら儲かるかもしれない」「もう少しやれば儲かるかもしれない」という気持ちにさせてズルズルと時間と金を消費させる。さらに負けが込むと「負けを取り返したい」という気持ちにさせてそこから離れなくさせてしまう。
いったん、ギャンブルにハマると、それはアルコールやドラッグと同じで深い依存を生み出す。それなしには生活できなくなってしまう。
そうした依存をシステマチックに行っているのがパチンコ店である。客をギャンブル依存にして鵜飼いの鵜のように非生産的なものに金を吐き出させて大儲けしている。こんなものが各駅前に存在するということ自体がおかしい。
Next: 警察が後ろ盾の違法ビジネスでパチンコ依存にされた日本人
パチンコ依存に陥るとどうなるか
実際、パチンコ依存に陥った人たちは大勢いる。パチンコ依存に陥って、借金をしてまでパチンコをし続ける人間は大勢いる。
育児放棄してパチンコにのめり込む主婦もいる。子供を車の中に放置したままパチンコに夢中になって熱中症で子供を殺してしまった事件もある。最近では2017年に静岡でそのような事件が起きた。
パチンコで金がなくなってコンビニ強盗した人間もいる。2020年5月1日に香川県高松市では、46歳の男がパチンコで金がなくなり、もっとパチンコがしたいがために刃渡り15センチの包丁を持ってコンビニ強盗をして逮捕されている。
生活破綻した後に行政から生活保護費をもらい、現金の支給日にそのままパチンコ屋に直行する人間も存在する。
生活保護というのは、最終的には受給者の生活を立ち直らせて「再び自立に向けて歩んでいけるように」という願いを込めて支給されるものだ。それを、右から左にパチンコ店に注ぎ込むのだから、生活保護はパチンコ屋を潤すためにあるのか、と真面目に生きている人が激怒しても当然だ。
パチンコ依存症という底なし沼
しかし考えなければならないのは、受給者をそうした行動に駆り立てているのはパチンコ店そのものだということだ。そこは、客を依存症にさせる空間と化している。
大音響で外界と隔絶させ、目まぐるしい点滅で意識を目の前に集中させ、条件反射だけの猿にさせる。その上で、「もしかしたらうまくやれば儲かるかもしれない」という感情を極限まで煽り、そして離れられないようにする。
これによって脳が変質する。パチンコは脳を異常なまで興奮状態にするのだが、この状態が長く続くと脳は常に興奮を欲するように変化してしまう。
パチンコを止めたら興奮が得られずにイライラするようになり、再びパチンコに向かってしまう。これがギャンブル依存症なのであり、パチンコ依存症である。
いったん、脳が変質して常にパチンコでの興奮を欲するようになると、もうそこから抜けられない。そうやって抜けられないように極度なまでにシステム化されたのがパチンコという違法賭博ビジネスなのだ。これが、野放しになっている。
Next: なぜパチンコ店は駅前の一等地で堂々と営業できるのか?
人格を崩壊させる産業が駅前で営業
パチンコ依存に堕ちた人たちの脳は、すでにパチンコによって壊されているので何を言っても変わらない。そのため、パチンコ依存者を責めても状況は変わらない。
もちろん、彼らも金を失ってパチンコ屋からふらふらと出て正気に戻ると、罪の意識や自責の意識が湧き出てくる。「このままではマズい。何とかしなければ……」と彼らも思う。しかし、何ともならないのが依存者の特徴だ。
ギャンブル依存は人格を崩壊させる。ギャンブルをするために金を注ぎ込むようになるのだが、最初に家族にとがめられる。それでも止められないと家庭が崩壊する。
勤労意欲も失われる。少し時間があればパチンコ屋に直行し、金がなくなれば借金したり、場合によっては会社の金を横領したりする。そんな人間を膨大に生み出すのがパチンコだ。
本当に責めるべきはパチンコ狂いになった人ではなく、パチンコそのものであり、さらにはこんな違法賭博をいつまでも放置している私たち自身である。
賭博依存を生み出し、普通の人を廃人化させるパチンコ店を、いつまでも放置している私たちが問題なのだ。駅前にこんなものが林立しているのを何とも思わない私たちに責任がある。
なぜ駅前一等地で堂々と営業できるのか?
それにしても、なぜ違法ビジネスがこれほどまで堂々と日本の駅前で営業していられるのか。
もちろん、それはこの違法ビジネスが警察や政治家や官僚を抱き込んでいるからだ。自分たちのビジネスを守るために、パチンコ業界はあちこちに金をばらまき、権力と癒着している。
さらにマスコミも抱き込んでいるので、もうパチンコという違法賭博を批判するマスコミもなくなった。各業界に金をばらまいて、パチンコ批判をさせないようにしている。
その上で、駅前一等地に店を出して日本人から大金を収奪している。批判すればどうなるのか。暴力や恫喝で黙らせる。
もちろん人間社会には堕落した人間が一定数存在してもいいし、そうした堕落にまみれた場所がどこかにあってもいい。堕落が必要な人間はどこの国でも存在する。
しかし、駅前ごとに違法賭博であるパチンコ店があって、この違法賭博が20兆円から30兆円規模の産業になっているというのは、さすがに異常極まりない。
本来は堕落に縁のないごく普通の人まで、それぞれの駅前に違法賭博が存在することでギャンブル依存症になる。パチンコ店は、駅前に出店することでそうなるように仕向けている。
Next: パチンコ消滅で30万人失業?そのほうが日本の未来は明るい
パチンコが日本人を劣化させた
日本人はパチンコによって、「無理やり堕落させられてきた」ということだ。
「戦後、日本人は劣化した」とはよく言われているのだが、本当に日本人が劣化しているというのであれば、劣化させている元凶がある。それがパチンコだったとしても何ら不思議ではない。
パチンコは、日本人を思考停止させ、日本人の勤労意欲を失わせ、日本人の金を毟り取り、日本人の家庭を崩壊させる。つまりは、日本人を劣化させ続けている。
駅前の違法賭博をなくすことは、多くの日本人を正気に戻し、思考を取り戻させ、劣化から脱出させる第一歩になる。
パチンコ業界の雇用はなくなってもいい
パチンコ産業が消滅すると雇用が減って30万人近くが失業することになるので、「それでいいのか」と恫喝する人間も出てくるのだが、もちろんそれでいい。
その30万人は、むしろ違法ビジネスから解放しなければならない。速やかに他の業種に転職させて、違法ビジネスに戻らないようにすべきだ。
さらにパチンコを全廃することによって数十兆円が違法賭博からまともなビジネスに流れていくわけで、日本経済にとっては素晴らしい結果になる。
日本人は一刻も早く「駅前ごとにパチンコ店がある」ような異常事態を一掃すべきなのである。
「行かない、行かせない、関わらせない」
私たちはもうパチンコに「行かない、行かせない、関わらせない」ことを徹底した上に、こうした考え方をする政治家や団体を支援する大切な時期に入っている。
「いつまで放置しているのか?」
「さっさと廃業させろ」
そうやって日本人は声を上げなければ、いつまで経ってもこの産業はしぶとく残り続ける。パチンコは自然消滅しない。日本からパチンコを一掃するには声を上げるしかないのだ。
そうしないと、日本人は永遠にギャンブル依存から抜け出せない。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年9月30日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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