まずは1~10の言い換え
では、20例もあるので今回と次回とで半分ずつに分けて、ざっくりとではありますが答え合わせをしていきましょう。
寄せられた回答から「適切な言い換え」「うまい言い換え」の例を書き添えていきます。
1. あざーす → ありがとうございます
これはまあ、いいでしょうね。定番中の定番、お礼の決まり文句なので、言い換えのバリエーションはかえって少ないでしょう。
言語の経済性を追求しすぎて「できるだけ速く言う」と、たしかに「あざーす」に近い音になります。
あなたは落ち着いて、大人の余裕で返しましょう。
2. ありえなくない? → 考えられないですよね、めずらしいですよね
最近ありがちと指摘されているのが、「断定を避ける曖昧な表現」です。これも「ありえない」と言い切らず、疑問文にして「押しつけがましさ」を和らげている例といえるでしょう。
「やわらかい」という点では、断定より成熟していると言えなくもありませんが、「責任を負う」ことを避けているとも推測できます。
相手本位に考えてあたりをやわらかくしているのか、突っ込まれたときに「そこまで断定してない」と逃げを打つための備えなのかによって、「幼稚語が伝える幼稚性」が変わります。
「めずらしいですよね」という回答を送ってくれた方がいます。このくらいに脳内変換できると、余裕のある大人の話し方で応じられそうですね。
3. いんじゃね? → いいと思います、よろしいのではないでしょうか
「いいと思います」と相手が言ったものとして受け取れば、無理なくストレスなく「そうですよね。私もそのほうがいいかなと思っていたんです」のように会話を続けることができるでしょう。
周囲から見ていても、たいへん余裕のある大人の態度です。
4. うける~ → おもしろい
本来の「ウケる」は、話や芸を「おもしろい」と思ってもらえた発信者側からの言葉です。
芸人が「今日のネタは客にウケた」のように使います。
おもしろがっている自分が口にして、パンパン手を叩きながら「うける~。チョーうける」と騒ぐ言葉ではありません。
「おもしろい」と言っているのだと解釈するだけでなく、そう「聞く」ようにしましょう。
5. おわた → (ダメだ終わったの意味)難しかった~
どうやら、「お手上げ」のニュアンスで使われるようですね。
だとしたら、回答の中にあった「試験が難しくて、単位を落としそう」な場面で使われたとしたら、「試験が難しくて、単位を落としそう」と言われたものとして受け取れば、「難しかったね。単位が危ないかも」のように、ナチュラルな日本語で返せるでしょう。
6. 食いてー → 食べたい、食べてみたい
これはあらためて取り上げるまでもないでしょう。「えっ、食いてー?」と言葉遣いに顔をしかめるのではなく、「食べたい」と言われたのだと解釈すれば、「私も」のようにストレスなく反応できますね。
「余裕ある大人の話し方」にとって、このプロセスが大事です。「自分では使わない言葉」でも意味はだいたいわかり、「自分でも使う言葉」に脳内変換して聞き、そこにナチュラルな反応をしていく、というプロセスです。