「ゲリラ多発地帯」を貫くインド屈指の“酷道”221号線を行く

 

ワクワクする40代でいこう

お湯を浴びて着替えを済ませてから、硬いベッドに横たわって、今日撮った写真を改めて見直してみた。何枚かいい写真はあるが、大半は今ひとつの出来だ。打率はせいぜい1割程度。いつもと同じ水準だ。悪くはない。でもまだ向上の余地はある。

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一日中悪路を走り続けて体はヘトヘトに疲れているはずなのに、なぜか気分は高揚していた。40歳になっても、こんな風にあてもなく旅できるのが、とても幸せなことだと感じていたからだ。

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旅を始めた20代の頃は「こんな旅は若い時にしかできない」と思っていた。バックパッカーなんて自由なスタイルの旅ができるのは若い間だけだから、今のうちに精一杯楽しんでやろうと思っていたのだ。

でも40歳を迎えた今は、全然そんな風に考えていない。自由な旅いくつになってもできるし、それを求める強い気持ちさえあれば、よりハードでよりディープな旅だってできるはずなのだ。

インド屈指の悪路を走り続けて埃だらけになり、1泊360円の安宿の硬いベッドの上に寝転がって朝を迎える。そんな一日であっても「俺は幸せなんだ」と感じられるのは、美しい光素晴らしい笑顔出会えたからだ。

旅に定年はない。

もちろん「永遠に若いままでいたい」なんて思っているわけではない。誰がなんと言おうと、時間は不可逆的に流れている。いずれ僕にも体力的な限界が訪れるだろう。そうなったらただ黙ってそれを受け入れるしかない。でも今はまだ、そのときではないはずだ。

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「ボリウッド俳優になるのが夢だ」とサジッド君は言った。

彼の夢が叶えられる確率は低いだろう。でも馬鹿みたいに壮大な夢を見る権利は誰にだってあるし、それは若者だけに許されたものでもない。そう、夢を見るのは若者だけの特権ではないのだ。

40歳になっても、大きな夢を見てもいいんだと思う。
40歳になっても、毎日迷っていてもいいんだと思う。

ワクワクする40代でいこう。
大きな夢を見る40代でいこう。

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