その間、2005年にバリ島へ行ったとき、興味本位で1度だけ覚せい剤を使用した。楽しい気分を味わうことができた。そのときはそれで終わった、興味本位だったので。
2014年、事務所をかわり、ファミリーコンサートから外れ、「むしゃくしゃした気分」になった。被告人質問ではこう述べていた。
被告人 「いちばん大きな理由はそれです。責任を持っていた大きな仕事から外れることになり、これからどうなるんだろう…」
ずいぶん不安な気持ちになったんだそうだ。
同年、渋谷のセンター街を歩いていると、ある男と目が合った。「何かほしい?」と言われ、「エスある?」と言った。 ※エス=S=スピード=覚せい剤。なぜ「エス」などという語が口から出たのか、誰も突っ込まなかった。
そうやって買った覚せい剤を使用したら、「前と同じように楽しい気分」になれた。
その後、売人に電話して最寄り駅付近で覚せい剤を買うようになった。最寄り駅まで来る売人の中に、サムと名乗るイラン国籍の男がいた。
2015年2月、「住むところが見つからない」とサム。被告人のマンションは広かったし、サムは「礼儀正しい、いい人」だったので、被告人はサムが可哀想になり、「お金を払ってくれるなら」と同居することに。 ※マニア諸氏は「同性愛か?」と思うでしょ。俺も思った。が、そういう話は全く出なかった。
2015年8月、金銭的な問題から、マンションを手放して転居することに。「私はビザがない。お金を(半分?)持つから、一軒家にしてくれ」とサムが言い、逮捕時の住居地を借りた。被告人は1階、サムは2階、お互いに干渉しない生活だった。
2016年4月13日の午後6時頃、被告人はサムから覚せい剤(量不明)を3万円で買い、1階のトイレで、以前売人からもらっていたガラスパイプに入れ、ライターであぶって加熱、気化させ使った。
サムから「質のいい覚せい剤」と聞いており、たしかに気持ち悪くなることもなく、いい覚せい剤だった。
そして警察がやってきて…。
なぜ警察が踏み込んだのか、明かされなかったが、甲1号証は捜索差押調書。こんなやり取りがあったそうだ。
警察官 「あなたは覚せい剤を持っていますか?」
被告人 「はい持っています。この中に入っています」
ソファーの上に置かれた紫色のポウチに、チャック付きビニール袋に入った結晶やガラスパイプなどが入ってたんだという。
このときのことを被告人質問で尋ねられ、被告人はこう答えた。
被告人 「あぁこの日がきたなと思いました」