キンコン西野『プペル』無料公開は本当にクリエイターを殺すのか

 

私は今回の騒動についてはとっても興味深く見ているのですが、「クリエイターの市場価格が下がる」という大勢の反論に対しては、「昭和の発想だな……」という感じがします。

この問題はクリエイターの世界では昭和時代から言われていることでした。

特に有名な話が、手塚治虫のアニメ制作で、手塚治虫が安い制作費でアニメを受注するので、それ以降のアニメーターが食えなくなった、という批判が、長いことずっと起こっており、アニメの世界では手塚治虫は戦犯扱いでした。

だからこそ、安く確立されたテレビアニメから、スタジオジブリのように映画で好きなように制作をするというスタイルでヒットしたり、『君の名は。』の新海誠監督のように個人制作で賞を獲ってファンを地道につけて大きなヒットへと巻き込んで行ったりと、新たにお金を作るスタイルが生まれてきました。

今の時代、簡単に海賊版は出回るし、ゲームも音楽も漫画も無料で楽しめるものがどんどん出てくる時代です。

そんな中でもお金を生み出すためにはどうすればいいか、というのはクリエイターは当然考えなければなりません。

そもそもお金の生み出し方が分からないというクリエイターは、その時代に求められているものを作り出せていないのですから、クリエイターと呼べないとも言えるでしょう。

時代は変わっていくのですから、市場の価格への考え方も変わるのが当然で、だったらクリエイターだって、お金の生み方を変えていかなければならないのは当然のことです。

それを、誰かが無料で公開したから自分も無料に悩まされるというのは、近くに大型ショッピングモールが出来てから商店街の個人商店が廃れてしまうではないか、と騒いでいた昭和のオッサン店主たちと何も変わりはないと言えます。

いま読まれてます

  • キンコン西野『プペル』無料公開は本当にクリエイターを殺すのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け