目を逸らすな。「とんねるず」問題の裏で自殺を考えた人のいる現実

とんねるず 保毛尾田保毛男
 

放送終了が決定して話題となった、とんねるず司会の長寿バラエティ番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」。その番組内で、懐かしのキャラクターとして登場した「ゲイのキャラクター」が差別的だとして批判が殺到し、フジテレビが謝罪に追い込まれる事態に発展したことは記憶に新しいところです。米国育ちで元ANA国際線CA、さらに元ニュースステーションお天気キャスターだった健康社会学者の河合薫さんは、自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、この騒動について何が問題だったのか改めて考察しています。

とんねるず問題と無知の罪

SOGIハラ」って言葉。聞いたことありますか?

これは「今」この時間も、「あなた」の身近な人が人知れずして涙しているかもしれないハラスメント。

S=Sexual O=Orientation G=Gender I=Identity

好きになる人の性別(性的指向:Sexual Orientation)や自分がどの性別かという認識(性自認:Gender Identity)に関連して、差別的な言動や嘲笑、いじめや暴力などの精神的・肉体的な嫌がらせを受けること。また、望まない性別での学校生活・職場での強制異動、採用拒否や解雇など、差別を受けて社会生活上の不利益を被ること。それらの悲惨なハラスメント・出来事全般を表す言葉です。

先日、フジテレビで放送された「とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP」の番組内コーナーで、とんねるずの石橋貴明さん扮するゲイのキャラクター保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」が登場し、侮蔑語である「ホモ」を連発。

ゲイを笑い者にしたネタを連発しました。

“みなさんのおかげでした”をリアルタイムで楽しみ、

「あなたホモなんでしょ?」(木梨)

「ホモじゃないのよ、ウワサなの」(石橋)

のやり取りを笑いながら見ていた世代の中にも、この放送には、不愉快な感情を持った人が多かったのではないでしょうか。

ただ、その一方で「そっか。保毛尾田保毛男も問題になってしまうんだな」と時代の変化を改めて痛感した人もいたはずです。少なくとも私はそうでした。

30年前、私も石橋さんと木梨さんのやり取りに大笑いし、学校でマネする友人に大ウケして……。

全く悪気はない。そう、悪気もなければ差別しているという認識もなかった

ただただ面白くて笑っていました。

だって、私の悪意なき笑いで傷ついている人がいる」だなんて想像したこともなかったからです。

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