目を逸らすな。「とんねるず」問題の裏で自殺を考えた人のいる現実

 

昨年からHIV陽性者のための大規模な調査研究に、研究者のひとりとして参加しているのですが、先日、アンケート調査の中間分析を行いました。

調査項目は、HIV検査、陽性告知、医療環境、暮らし、仕事、セクシャルヘルス、アディクション、人間関係、心の健康などがあり、私は「心の健康」を担当しています。

その中に自殺念慮を問う項目を設けているのですが、ショッキングな結果が出ていたのです。

対象者1100名のうち7割以上がこれまでに自殺を考えたことがある」と回答。

そのうち「過去一年間に本気で自殺を考えたことがある」という人が約3割もいました。

また、「これまでに自殺の計画を立てたことがある」とした人が4割。そのうち4人にひとりが「過去一年間に計画を立てた」と回答しました。

一般住民を対象にした調査(日本財団自殺意識調査2016)では、「過去一年間に本気で自殺をしたい」という人は3.4%でしたので、この結果の深刻さが理解していただけると思います。

もちろんこの調査は「HIV陽性者」が対象であり、LGBTを対象にしたものではありません。

しかしながら「『知らないは社会の責任だ 」という点では全く同じです。

彼らのほとんどはセクシャルマイノリティであり、HIVも今は死の病いではなくクスリを服用することで普通に生活ができます。

「『知らない』は社会の責任だ 」と杉野さんは綴っていましたが、「知ろうとしないのは個人の責任だと思うのです。

私にも知らないことがまだまだたくさんあると思います。

みなさんの知っていること、私が知るべきこと、是非、教えてください。

自殺念慮とは、特別な理由なく、または周囲の人には理解できないようなきっかけで「自殺したいという思いにとらわれてしまう心理状態。ストレスの原因から逃避するために自殺を手段に選ぶ「自殺願望」とは違い、能動的かつ具体的に自殺を計画しようとする傾向がある。

image by: Shutterstock.com

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