理不尽な対応とパワハラ
そもそもY園長は、犯人探しをすることに反対であった。保育以外のことに目が向くことを嫌ったのである。だから自己防衛しましょうということなのだが、結構な金額をちょこまかと盗まれていた被害者からすれば、応じられるはずもない。
なぜなら、盗まれたという事実はさることながら、自分だけが被害を受けているのだ。それに対して疑問に思う、怖くなるのは当然だろう。
善後策も講じることもなく、ロッカーを施錠しなさいと言っても、職員室には、ロッカーのキーがぶら下がっているのだ。合鍵がそこら中にあるなら、ロッカーに施錠したところで、留め金程度の効果しかなさない。
そして、A子さんが通報したいという申し出を強い言葉で威嚇し、また嗜めるように話し、これを妨害した。
通常、この場合、社内調査を行うことになる。事件のあらましを職員に告げ、個別に聞き取りをしたりして、犯人に自主的な行為を求めるのだ。その上で示談にするならば示談、納得いかなければ被害者は警察に通報する。
通報を妨害した上、園内での権力を使ってこれを隠匿するよう強要し、園内の調査をしないというのは、被害者の権利を踏みにじる行動にほかならない。
それでも、A子さんとこの問題を知ったその上司は、勤務外、他の職員や業務には一切支障がないようにすると言って、独自に調査をした。
A子さんの救いは、パワハラ傾向の強いY園長の考えに被害を受けている保育士は多数おり、一般常識のある職員がいたことだろう。
そしてついに財布に入れた手紙の罠に保育士Nは引っかかり、A子さんに犯行を自供したのだ。
保育士Nが自白し、このことがY園長に伝わると、Y園長は話し合いの場を設けた。それは、就業規則を無視したもので、A子さんに示談を強要するものであった。
Y園長の主張は常識をはるかに超えていた。
- Nは自分が元いた保育園から連れてきた可愛がっている保育士だから、自分の元で更正させたい。
- この業界ではよくあること、施錠しない、管理しない方がむしろ悪いとされる。
- むしろ、お金が盗まれたと騒ぐ方がどうかしてる。
- 人事権はR保育園を運営する社会福祉法人の理事長にあるから、今すぐの処分はできない。
- A子の被害に関する考え方がおかしい。常識外れだし、黙っておけばいい。
この人間離れした押し付けに、流石に従うことができなかったA子さんは、Nとは一緒には働けない、怖いし、納得がいかないと言い、理事長の判断を仰ぐことに同意した。
それでも、この段階から、 Y園長からは、そんなこと言う人とは、私が一緒に働けないと事実上の退職勧告を受けているのだ。
いずれ理事長から直接話があると言うことであったが、A子さんは一度も理事長とは会う機会がなかった。その間、Y園長は、A子さんに対する嫌がらせを強めていった。
ある日A子さんが出勤すると、Y園長が飛び出てきてすごい剣幕で、どうしてあんなことしたの!! とブチ切れられた。全く身に覚えが無いA子さんは連れられるままに部屋に入ると、何やらワープロ字で印字された紙をY園長が持っていた。
そこには、「保育士Nは泥棒です。・・・」という様に窃盗被害のことを書いたものと、Nを追放しようというような内容であった。
A子さんは、自分では無いと主張したが、たくさん印刷されていた、「これはあなたにとって不利になりますよ。」と犯行を押し付けられたのである。
ところが、A子さんは、キーボードを打った経験がほとんどない。Microsoft Wordと聞いても、なんのことかもわからないのである。そういう人物が作れるような代物ではないのだ。
また、A子さんは財布からお金が盗まれていると確信した日、その日のシフト表で出勤していない人物を確認している。出勤していない人は、絶対に犯行ができないわけだから、信用できると思ったのだ。それで、窃盗被害のことを話し、協力を仰いだのだ。当然に正義感の強い同僚は、協力してくれると話してくれた。
この同僚が、A子さんに協力した上司に、問題は解決しそうか心配して話をしたことをY園長は耳にして、ブチ切れる。
A子さんは時間外に及ぶ長時間、密室に閉じ込められて、「なぜ他の同僚がこの窃盗事件のことを知っているのか?」「こういうことを勝手にY園長の承諾なく、誰かに相談すること自体が間違い」「非常識極まりないあなたなんかと一緒に仕事はできないわよ!!」と喚き散らしたのだ。
このことが原因で、A子さんは強い精神的苦痛を受け、未だにそのことを思い出すと、胸が苦しくなるそうだ。密室への恐怖は心に大きな傷を残したままなのだ。
A子さんはR保育園にハローワークを通じてパート勤務となった経緯があり、このことを労働基準局に相談したいとY園長にいうと、そんなことはさせないと怒り狂ったそうだ。 その様子は、心配していた上司もわかるほどであった。この上司にとって、Y園長はさらに上司ということになり、園の運営、一切合切を理事会から任されていることは知っていたが、さすがにこれにYESとは言えないと感じたそうである。
Y園長は、このままでは、いつA子さんの口から窃盗被害が園全体に広がるか心配になった。だから、先手を打つことにしたのだ。
園に子供を通わせている事情通の母親たちによると、泥棒である保育士Nは、保育園の発表によれば「体調不良のため長期療養」とのことで、事件発覚から数日後に、事件のことは伏せられたまま、姿を消した。
ところが、その前日、保育士ら職員へは、「Nはタイに研修に行った」「当人は、以前からタイへ研修に行きたいと言っていたので、そうなった」と説明があったとのことであった。
そして、R保育園保護者への発表は誰にも黙って園長が張り紙で行ったため、窃盗事件を知らない保護者たちは、心配して他の職員に「Nは、大丈夫なのか?」と聞いたのであるが、当の職員は、「研修に行った」と聞かされていたから、そこで、何かあったはずだと、大きな混乱が生じたのだ。
この段階で、保護者も勤務する保育士らも、Nが何かやらかしたのではないかと疑うようになっていった。
ただ、そうした空気やNについての質問があるたびに、それは全てA子さんのせいとなって、Y園長はA子さんに嫌味を言ったり、露骨に不機嫌な様子で睨んだり幼稚な嫌がらせを続けた。
真横に立っていても、遠くにいる別の保育士を呼び止め、その保育士伝いに指示をされるなど、やることなすこと全てが幼稚で陰湿、そして執拗なのだ。
また、R保育園を管轄する足立区の担当課へはY園長が報告をしているというが、担当課は何も問題はなかったと聞いている。理事会からの話も、全てY園長を通じないとA子さんは話すこともできない。
犯罪行為をした保育士のNはR保育園には来なくなり、Y園長からはクビになったと聞いたが、その後、大変な事実が明らかになった。
Y園長がいくら嫌がらせをしたり、圧力をかけても、A子さんはなんとか耐えた。業を煮やしたこのR保育園を運営する社会福祉法人は、早急な示談を求めるために、顧問弁護士を派遣する。
しかし、この弁護士は、保母さんばかりがいる女の園に鼻の下を伸ばし、ろくに話を聞いてこれないばかりか、長期療養?タイへ研修?事件を受けてクビ?になったはずの保育士Nが、同社会福祉法人が港区で運営するA保育室へ異動して普通にフルタイムで勤務していることを話してしまう。
大失態だ。
実際、Nは、被害を受けたA子さんのショックの様子とテコでも動かない様子から、警察にでもかけ込まれたら、園児が集まらなくなってしまうとの社会福祉法人と園長の懸念から、R保育園に継続的に勤務するのは難しいと判断が下された。
ただ、保育園を運営する社会福祉法人にとって、保育士と0歳児は金の卵だから手放すのは大損なのだ。たとえ、泥棒の常習者でも保育士であれば、金を生むのだ。
(この疑惑については、この窃盗事件発端で調査をしているうちに、補助金や助成金関係につながる不正事実が発覚しているので、次回もしくは次々回の第2弾で報告したい。)
幸いこの本社を茨城県に置く社会福祉法人は手広く保育園を運営しているから、Y園長とも親しい園長がいる港区にあるA保育室に移籍させることにしたのだ。
実際は移籍ではないが、園を移ることで、A子さんには辞めさせたと思わせたのだ。
また、A子さんはこの弁護士と話す際、これまでの不当な扱いから夫の同席を園側に求めたが、園長がこれを叱責し拒絶したため、致し方なく一人で弁護士と対応している。
この弁護士は、そもそも社会福祉法人に雇われているのであり、法人、園側の弁護士となる。場合によっては、園とは利害関係が全く合わない状態になるA子さんとは利益相反行為になるだろうから、公正な仲裁は不可能だろう。
A子さんが何か言葉に表現できないような阻害感を感じたのは、正しい勘が働いたと言える。
A子さんが未だに取材調査に正当に応じてくれないのは、園側にもしも他に漏らせば、名誉毀損で訴えてやると脅されているのだ。
まあ、それでも、保護者の事情通やY園長に同様のパワハラを受け辞めたり、もう辞める予定の職員も複数いる上、近隣住民はこのR保育園をよく思っていないから、多方面から情報が入る。
蛇足になるかもしれないが、、、