そして事実上の解雇予告
A子さんは、2月下旬にY園長から電話で 「あなた3月末でクビだから、理事長の決定だから、私は知らないけど。そういうことなので」という内容の解雇告知を口頭で受けた。
理由は、 保育士中心に雇い入れをするという方針で、フルタイムのパートは法人の経営上、経営難だから雇えないからというものであった。
その場にいた複数の保育士らは、これについて、こう反論する。
「経営難ということはありません。毎月相当金額の補助金が国や自治体からも入っていますし、保育料も別で取っています。保育士には国などの補助もあります」
「3月中には人手不足を理由に、パートの募集をしています。私たちからすれば、仕事に慣れているA子さんに残ってもらうのがベストなんです。また、何もわからない人に指導するのも大変ですから」
「Nが戻ってくるという話はすでにY園長から出ています。多分A保育園の園長とY園長は古くからの友人ですから、始めからこのシナリオができていたんだと思います。それに・・・」
つまり、 NをR保育園に戻すに当たって、A子さんが邪魔になったので、正当な理由はないが、経営難ということにして、解雇してしまおうという魂胆なのだ。
これぞ、完全なるパワハラ。
パートとはいえ、就業規則によれば、普通解雇の要件には何一つ一致しないし、契約を更新しない理由が虚偽(嘘)であれば、不当解雇と言わざるを得ない(就業規則は正社員もパートアルバイトも同じ扱いになっている)
都合が悪い人は解雇する。それが園内で起きた事件の被害者であっても、その事件が起きたこと自体が園にとって、運営元の社会福祉法人にとっても不都合だから、なかったことにするため、被害者を園から抹殺したのだ。
パワハラの定義(東京都)
職場において、地位や人間関係で弱い立場の労働者に対して、精神的又は身体的な苦痛を与えることにより、結果として労働者の働く権利を侵害し、職場環境を悪化させる行為
ただし今回、このR保育園を調べているうちに、保育園にまつわる補助金助成金の流れが見えてきた。
例えば、保育士の給与については1人あたりおよそ3万円の補助金が月々支払われる。家賃補助は8万円前後支給されている。保育についても、0歳児であれば1人あたりの保育料は21万円とされ、年齢によって毎月補助金が保育園に入る仕組みになっている。
例えば、0歳児〜5歳児まで各年齢の子が10人いる認可保育園ではおよそ700万円が月々補助金として支給されるのだ。
さらに、保育園建設についても補助金が出る。
まさに自己資金を投入しなくとも、条件の良い場所で保育士を集めて園を立ち上げれば、国や自治体の補助金で十分な経営ができる。
ここに保護者らから保育料を取るのだから、黙っていても金が儲かる仕組みが出来上がっているのだ。
こうした血税が投入される仕組みから、今回、R保育園の成り立ちや聞き込みのための勤務体制なども調べているうちに、不正に関する疑惑があることがわかった。すでにいくつかの証拠が出てきているが、現在裏付け調査中なので、次回もしくは次々回に「伝説の探偵」で報告したいと思う。
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