現代の「いじめ問題」が重い理由の一つには「節度がない」という点が挙げられると思います。
- 不登校になるまで攻め続ける
- 精神科に通うまで追い詰める
- 葬式ごっこ
- 自殺の練習させる
目を覆いたくなるような事件が続いています。それは限度を「知らない」子どもたちというより、「限度が分からない」子どもたちが増えているからだと思うのです。その背景には日本に風土に根づいていた「あの世と結びついた価値観」というものが失われていったことも影響しているのではないでしょうか。
仏教だけでなくキリスト教にも天国、地獄や煉獄という考え方がありますし、NHKの「西郷どん」の西郷隆盛が大切にした「敬天愛人」(天を敬い人を愛する)という言葉もありますが、儒教にも「天が見ている」という考え方があります。「天知る 地知る 我知る 人知る」との言葉もありますが、目に見えない存在が、「必ず見ている」という感覚は、悪いことをしてはいけないという心のブレーキとして働いていたように思います。
結局、道徳やモラルと呼ばれる考え方の背景には、仏教やキリスト教、あるいは儒教と言った考え方が根底にあり、そこから「何が善で、何が悪なのか」という規範が生まれ、何千年にも渡って語り継がれてきたと言えます。若いお母さんの間で『絵本 地獄』(風濤社)が人気だと聞いています。この絵本を見せると子どもたちが「いい子」になるというのです。
対処療法的にみれば「いじめ解決」は学校に委ねるしかないのが現実です。学校に見放されたならば、「転校する」か、「学校に行かない」という選択肢をとるしかなくなってしまいます。
しかし、もっと大きな視点で考えた場合には、子どもたちの「心」に訴えていくことがより重要なのだと思います。そのためには「家庭」や「社会」において「善なること」、「悪なること」を教えると同時になぜ、その考え方が大切なことなのかを伝え続けることが必要だと思います。