ラダック地方にあるパンゴンツォは標高4200mにある美しい湖だ。西の空から沸いてきた黒雲が、湖面に激しい夕立を降らせた。湖と雲と太陽が織りなす、つかのまの光のショーが美しかった。
もともと山に登ることにも、山を撮ることにも、あまり興味がなかったのだが、ラダックでは山にカメラを向けたくなった。山が「撮れ」と言っている。その声に素直に従うことにした。
ヌブラ渓谷にある小さな村を訪れた。雪解け水が流れる川に沿って植えられた菜の花が黄色い花を咲かせていた。標高が高く、雨がほとんど降らないラダック地方の自然は厳しく、背後にそびえる山肌には草木一本生えていない。人が生きていける場所はごく限られている。