なぜ「熟年離婚」で女性の年金額が減ってしまうのか?年金のプロが解説

 

次に夫の年金記録ですが、煩雑を避けるため妻の離婚時年金分割の計算に使用する部分のみを使います。夫の生年月日は昭和27年6月3日(今は68歳)とします。

婚姻は昭和53年4月であり、そこから60歳前月の平成24年5月までの410ヵ月厚年に加入。この410ヵ月間の平均的な月給与(平成15年4月からは賞与込みで)は50万円としてみる。

そうすると、婚姻した昭和53年4月から平成24年5月までの間に、50万円×410ヵ月=2億500万を稼いできた事になる。夫が稼いできたこの2億500万円を報酬総額と呼びます。この2億500万円の記録を夫婦で分けるのが離婚分割。

なお、離婚分割の制度がもう一つ増える「平成20年4月」から平成24年5月までに稼いだ金額を50万円×50ヵ月=2,500万円とします。なので昭和53年4月から平成20年3月までに稼いだ分は2億500万-2,500万円=1億8,000万ということであります。

妻が63歳の時に離婚したいと言ってきたため、妻が64歳になる令和2年4月に離婚した。さらに厚生年金を分割したいとの事で、上限の50%(半分)を分ける事になった。

さて、年金の離婚分割の場合は話し合いで決める合意分割(平成19年4月に始まった)と平成20年4月から導入された3号分割というのがあります。

平成20年3月までと平成20年4月以降ではちょっと違いますが、まず平成20年4月から平成24年5月までの妻が国民年金第3号被保険者になってる期間50ヵ月の2,500万円の半分の年金記録は、強制的に妻に半分渡す。離婚分割する際に3号分割できるところがある場合は、順序としてまず3号分割を先にやる。

つまり、妻にまず50ヵ月分の1,250万円渡す。ココは話し合いも何も考えずに半分にしちゃってください(笑)強制で分捕っていいんで。

こうすると夫にあった報酬総額2億500万円は1,250万円減って1億9,250万円に減る。妻は自分が過去に稼いだ176万円と3号分割1,250万円合わせて、1,426万円に上がった。

まず分捕った3号分割したうえで、次に昭和53年4月から平成20年3月まで360ヶ月間稼いだ1億8,000万と、平成20年4月から平成24年5月までの1,250万円の総額1億9,250万円を半分分割する。

ココは話し合いになりますが、大体の夫婦は半分しようって事で決着してますね。

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※ 注意
離婚分割は3号分割をした後に、改めて合意分割に移る。3号分割で分捕っておいてまた取るの!?と思われたかもしれませんが、順番は3号分割した上で合意分割処理をやる。
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