なぜ「熟年離婚」で女性の年金額が減ってしまうのか?年金のプロが解説

 

半分するんなら1億9,250万円の半分やね!っていうと、まあそうなんですが妻の分の1,426万円がありますよね。ちょっとした計算式を使う。

まず、半分するので50%(0.5)とします。この0.5を按分割合といいます。按分割合0.5でちゃんと分割できるようにするための計算をします。それを改定割合といいます。

・改定割合→按分割合0.5-(妻の婚姻期間中に稼いだ額1.426万円÷夫が婚姻期間中に稼いだ額1億9,250万円)×(1-按分割合0.5)=0.5-0.0370390(小数点7位未満四捨五入)=0.4629610(小数点以下7位まで取る)

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※ 注意
改定割合というのは按分割合通りに分割するための計算なので、一応公式として覚えてもらえばいいです。
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この0.4629610を夫の報酬総額に掛ける事で、妻へ分割する分が出せる。わかりにくいですが、夫の総報酬額の0.4629610分を妻に渡すっていうイメージです^^;

・昭和53年4月から平成20年3月までの360ヵ月の1億8,000円の夫の総報酬額に0.4629610を掛けると、83,332,980円となる。

平成20年4月から平成24年5月までの50ヵ月の1,250万円×0.4629610=5,787,013円

そうすると、妻の婚姻期間中に稼いだ報酬総額と夫から貰った報酬総額は、妻自身の176万円+話し合いの離婚分割で分けた83,332,980円+5,787,013円+3号分割してもらった1,250万円=103,379,993円

じゃあ夫はどうなってるかというと、1億8,000円×(1-0.4629610)=96,667,020円

1,250万円×(1-0.4629610)=6,712,988円

夫の合計は103,380,008円。

夫婦で数円の誤差は出ますが、年金額には影響を及ぼさない。

という事で、婚姻期間中の厚生年金記録を半分に分割する事が出来ましたが、妻の老齢厚生年金額はどうなったのか。

・単純に計算ですが妻の老齢厚生年金額→103,379,99円×5.481÷1,000=566,625円となる。

老齢基礎年金643,274円+離婚分割後の老齢厚生年金566,625円=1,209,899円(月額100,824円)となる。

なお、離婚分割は「加入期間」を分けてもらうわけではないので、この年金を65歳前から貰うには妻自身が12ヶ月以上の厚年に加入しなければならない。12ヶ月以上加入にならないなら、65歳からの支給となる。

離婚分割の考え方はこの辺まで覚えておけば大丈夫です。

それでは今日はこの辺で!また来週お会いしましょう~。

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佐賀県出身。 1979年12月生まれ。 佐賀大学経済学部卒業。 民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。 その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て、スーパーバイザーの後に統括者を務め、相談員全体の指導教育に携わってきました。年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。 私のメルマガの場合、いつもながらよく事例や数字を多用します。 なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴めないからです。 このメルマガを読んでいれば、年金制度の全体の流れが掴めると同時に、無駄な損をする事も無くなると思いますので気軽に楽しみながら読んでいってほしいなと思います。

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