先日、過労のため自ら命を断った女性社員の遺族と和解したワタミ。自身の責任を認めた創業者の渡邉美樹氏ですが、メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では「渡邉氏は議員の職も辞するべき」とし、彼を政治家にした安倍官邸の責任についても厳しく追求しています。
ワタミ創業者を政治家にした安倍官邸の責任
「労務管理はできていた」「一方的にワタミグループをブラック企業と呼ぶことは、到底、受け入れられない」。
そう言い張っていたワタミの創業者、渡邉美樹参議院議員が、過労で心身ともに追い込まれ自ら命を絶った女子社員について、ついに自らの責任を認めた。1億3,000万円の損害賠償金を会社が支払い、再発防止策を講じることで、遺族と和解した。
いまになって「お墓まいりをさせてほしい」と言う渡邉に対し、「この先の彼の生き方を見たい。いまは絶対に来てほしくない」と両親は拒絶した。これまで、まるで事件をでっち上げられたかのごとき態度をとってきた渡邉の、謝罪の気持ちが本物であるかどうか見極めるまで、申し出を受け入れがたいという両親の思い。痛いほどよく分かる。
そもそも和解すれば問題が解決したと思っているなら大間違いだ。渡邉はいやしくも国会議員である。公人として社会問題に立ち向かわねばならない立場だ。彼に自らを律する能力があるのなら、和解と同時に、議員の職も辞するべきではないか。
もともと政界進出を狙っていた渡邉に、自民党からの出馬を要請したのは、安倍首相だった。2013年7月の参院選を目前にした同年3月、菅官房長官から電話で打診があり、その後、安倍首相、菅官房長官との会食の席で、正式に話が決まった。
自民党は同年4月、ブラック企業対策を発表したが、渡邉の出馬が決まったのを受けて、この対策を参院選公約から削除した経緯がある。それゆえ、すでにブラック企業として名前があがっていたワタミの創業者を擁立した自民党の責任も重大であり、あらためてブラック企業対策を練り直すとともに、すみやかに渡邉の議員辞職を勧告すべきであろう。
渡邉の言行に偽善的なところがあるのは、テレビで見る印象だけでなく、知る人ぞ知る事実のようである。安保法制は違憲だと国会で指摘した憲法学者の1人、小林節慶応大名誉教授も彼とかかわり、あきれ果てて離れていった1人だ。