6月6日から2日間にわたって行われた「米中戦略・経済対話」のため、アメリカのルー財務長官が北京を訪問しました。お互い、強い自己主張をするお国柄ですから、何かガチンコの論争でも起きるかとも思っていましたが、拍子抜けするほど、あっさりしているように感じます。(『海外投資とネットビジネスで海外移住、ハッピーライフ』栗原将)
アメリカのルー財務長官が中国に手放しの称賛を送った理由
拍子抜けするほどあっさり終わった「米中戦略・経済対話」
6月6日から2日間にわたって行われた「米中戦略・経済対話」のため、アメリカのルー財務長官が北京を訪問しました。お互い、強い自己主張をするお国柄ですから、何かガチンコの論争でも起きるかとも思っていましたが、拍子抜けするほど、あっさりしているように感じます。
一昨年あたりには、ルー財務長官は中国に対し、かなり強い姿勢で、「為替レートは市場原理に基づくべきだ」と改善を要求していました。
ですが今回、北京では、「わずか数年前と比べて真の前進が見られた」と、もはや手放しの称賛モードとなっています。麻生財務大臣に対する“冷淡な態度”とは全く違いますね。
米ドル/円 週足(SBI証券提供)
米中の為替政策は完全なWin-Win?米国の狙いは
さて、ここからは、全くもってショーの独断、想像の話となります。
「米中間で為替に関する密約がある」という噂が出回ったことがありましたが、密約という言葉が正しいかどうかは疑問だとしても、少なくとも現在と当面においては、米中両国が意図している為替政策は、完全にWin-Winの関係になっている。こう考えています。
まず、アメリカはドル安です。昨年まではドル高を“許容”してきたのですが、大統領選が近づき、いつもと同様、ドル安志向になってきました。
さらに大きな要因として加わったのが、共和党候補トランプ氏の台頭。現政権の民主党の政策と、その結果のドル高を徹底的に攻撃しています。
現政権は「次期政権も民主党のままで」と考えますから、ここは何としてもドル安に持っていきたいと考えるのが自然です。
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一方の中国は今何を考えているのか?
一方の中国。かつては、輸出企業が恩恵を受ける人民元安政策を進めていました。
これがアメリカから批判を受けていたのですが、潮目が変わったのが昨年夏の上海株ショック。上海株が暴落し、連れて起こったのが中国からの資本逃避です。
この頃は、日本時間で午前10時過ぎに発表される人民元レートにより、東証の株式やドル円も大きく揺さぶられていたのを思い出します。
中国の金融当局は、資本流出を抑えるべく、人民元を上げる方向に誘導しました。“平時”は「低めに誘導して輸出企業を支援する方向」だったのが、もはや“有事”となり、逆に「人民元高、ないし人民元が下がりすぎないようにした」というところですね。
この人民元高政策も“人為的”なものなのですが、アメリカがクレームを付けたというニュースは見ていません。
以前も書きましたように、為替は必ずペア通貨があります。米中だったら、ドル/人民元、となるわけですが、人民元が高くなれば相対的にドルは低くなる。これはアメリカにとっては非常に都合が良いことなのです。
今回、ルー財務長官が北京で、手放しの称賛をした経緯はこんなところだろうと思っています。為替において、当面、米中は完全に蜜月関係にあると言ってよろしいでしょう。
そこで割りを食わされるのは日本であり、実際にやられっぱなしになっているわけです。
※太字はMONEY VOICE編集部による
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明るい希望が見いだせないサラリーマン生活から脱却すべく、国内不動産投資から海外投資に目指した40歳独身男が、2012年6月をもってサラリーマンリタイヤ。投資インカムに加え、インターネットビジネスも開始し、タイ バンコクに移住、稼ぎは大きく、生活コストは小さく、ハッピーライフを追求していきます。