本日は書籍『沿線格差 首都圏鉄道路線の知られざる通信簿』をご紹介します。首都圏の人間であれば、ある路線はお洒落、またある路線はお金持ち、ある路線は庶民的などのイメージを持っていると思いますが、本書は、そのイメージをあえて言葉にした画期的な本です。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)
プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。
物件の検討時、路線イメージを調べる辞書として使える良書
『沿線格差 首都圏鉄道路線の知られざる通信簿』著:首都圏鉄道路線研究会/刊:SB新書
不動産投資において、鉄道路線や駅距離は重要なファクター
本日は首都圏の鉄道について記載された本をお送りします。不動産投資をする人にとって、鉄道の路線や駅からの距離は、投資の意志決定における非常に重要なファクターであることは自明だと思います。
JR線の沿線が好きな人、私鉄が好きな人、地下鉄の駅が良い人など、入居者個人のライフスタイルを反映するため、首都圏において電車の路線を全く無視して不動産投資を行うことはないと言えるでしょう。
多かれ少なかれ首都圏の人間であれば、ある路線はお洒落なイメージ、またある路線はお金持ち、ある路線は庶民的なイメージを持っていると思います。本書は、そのイメージを、あえて言葉にした画期的な本と言えます。感情的なイメージで路線に優劣があるかどうかはさておき、路線間に感じられる格差についてできるだけ公平に語ってくれています。
乗り入れ・接続数・混雑率・駅前の栄え具合、駅の路線価(土地の価格)や家賃相場、乗降数など出来る限りの定量データに基づいて、その駅の力を判断し、総合的に格差を論じています。路線間の格差なんてくだらないと一笑に付すことなく、路線を理解する一つの参考情報として活用できると思います。また、東京以外のエリアに在住で東京の物件に投資をしたいと考えている投資家さんにはちょうどよいインプットとなることでしょう。
それでは、少々長くなりますが、首都圏の鉄道について路線毎の力をみて行きたいと思います。
以下、著者の言葉を抜粋します。
■沿線の「勝ち組」と「負け組」を定義づけ
本書では以下の基準で勝ち負けを定義するとしている。
1.『ブランドタウン』の多さ
2.『接続路線』の多さ
3.『遅延』の少なさ
4.『混雑』していなさ
5.『乗客数』の多さ
6.『乗客増加数』による駅周辺の成長力
7.『運賃収入の多寡』
この定義に基づき
混んでいるけど、それに見合うだけのブランドタウンが並ぶ路線
ブランドタウンがそれほどあるわけでもないが、そこそこ快適に電車が乗れる
という路線が勝ち組と定義されている。
具体的な順位は、
1位:京急本線
2位:東海道線
3位:東急東横線
4位:小田急線
5位:総武線
6位:中央線
(以下略)
この順位と実際に自分が持っている路線のイメージが異なることは多いと思いますが、まぁ住めば都でどの路線にも良いところがありますので、あまり目くじらを立てず楽しんでみましょう。
なお、7位以下の路線について気になる方は本書を買って読んで下さい。ちなみに私の好きな西武線が…惨敗で少し哀しかったということだけは記載させていただきます(笑)。
各沿線のイメージ紹介
東京にはたくさんの路線があります。首都圏の人にはおなじみでも、それ以外のエリアの方にはあまり馴染みのない路線というのが多数あります。
今回の書評では、あくまで首都圏以外の方が、それなりに各路線のイメージをもっていただけるような書評といたします。そのため、いつもの6倍くらい文章が長くなりますが、ご了承下さい。
全部の路線を読むと大変なので、気になる路線だけ読んでくだされば幸いです。
※路線の並びは書籍に紹介されている順番です
Next: 東京の背骨・中央線、千葉県民を支える総武線、日本の動脈・東海道線の実態は?
【1】アニメやマンガにもよく出てくる中央線
中央線は、23区西部、多摩地域の背骨
中央線の始発駅となる東京駅
周辺には、日本の中心だけあって、高層ビルのオフィス街が広がっている
新宿を過ぎて西に向かうと中野です。
中野は中野区の中心駅であり、駅周辺の路線価は人坪当たり327.3万円
中野区には「中野ブロードウェイ」という商業・住宅が一体となった施設
があり
今も「サブカルの聖地」
中野をすぎると、杉並区に入る。
中央線は高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪と続く。
高円寺は、夏の阿波踊りで有名
阿佐ヶ谷は、アクエリオン3期目やゲーム制作会社を描いたNEW GAME等の舞台に何かと使われる場所。クリエーターが多い印象です。
このあたりの地域は、「おしゃれ」ではあるが、おっさん視点で見ると「貧乏くさい」
それでも人気エリアなので
賃貸物件の家賃を見てみると、高円寺で1Kの相場が7.61万円
というのは、東京以外の人には驚きのお値段だと思います。
西荻窪をすぎると、多摩地域に入る。吉祥寺は、多磨東武の拠点
吉祥寺駅の路線価は366.1万円であり、都心よりの中野よりも高い
なお現在放送中のTVアニメ オカルティック・ナインの舞台である井の頭公園もこのエリアです。
【2】超混雑、千葉県民の支えとなっている総武線
総武線は千葉から新宿を通り、先ほどの中央線と併走して吉祥寺、三鷹まで続く路線でJRの案内板は黄色のラインが入っている。
(併走する中央線を使う人が多いため)
新宿以西において総武線の存在感は薄い
一方で
御茶ノ水以東での(総武線の)存在感は絶大
朝のラッシュ時、総武線最混雑区間が錦糸町→両国で199%
JRで最も混雑する路線のひとつ
「総武線が止まると千葉県民は家に帰れない」といわれるほど、総武線は東京都心に通う千葉県民の心のよりどころ
西船橋、船橋、津田沼、千葉で乗車人員が1日10万人を超え、ほかも多くが5万人を超える。
【3】快速扱いの東海道線
東海道本線は(中略)東京と神戸までを結ぶ日本の動脈の一つである
しかしながら、関西では東海道本線とは呼ばずに、運行実体に合わせて、例えば大阪から神戸に向かう列車を神戸線と呼ぶなど、別の名称で運行していたりする
そもそも東京駅への通勤圏にある駅は新橋、品川、川崎、横浜、戸塚、大船、藤沢、辻堂の8駅のみ
つまり東海道線は、多くのケースで乗り換えを伴いながら利用される路線
駅が少ない分、乗車時間は短い(早く着く)。そのため、「快速に乗り換える」的な感覚で使われるのが実態だ
中規模の駅が並び
地価も、東京駅から46kmある大船が21万円/平米、51kmの藤沢が約25万/平米
これだけ距離の差がありながら、なおも地価が高い東海道線沿線地域には、歴史に裏付けられたブランド力を感じることができる
Next: 子育て世代必見の埼京線、酒盛り列車の常磐線、成長路線の京葉線
【4】子育て世代に必見の埼京線
埼玉から池袋・新宿・渋谷といった副都心を結ぶ埼京線は、いまや首都圏の通勤路線としてなくてはならない存在になっている
埼京線は
JRで4番目の混雑ぶり
路線ではあるが、子育て世代に優しい路線になりつつある。
2004年、JR東日本は埼京線沿線にはじめて保育所をオープンさせた
これを機に、JRは埼京線を“子育て応援路線”と命名。毎年のように保育所を新設している。
(保育所を作るための用地に使用可能な)
都市施設帯は線路脇にあるから、当然ながらそこに開園する保育所は駅近になる
埼京線は
保育所が整備されて、“混雑の激しい路線”から脱却し、ニューファミリー層が多く暮らす街になりつつある
【5】酒盛り列車の常磐線
路線全体としては都心部から仙台までを、太平洋沿岸地域を経由して結び、特急列車も運用されている
首都圏方面では茨城県南部や千葉県から都心部への通勤輸送の役割を担っている
さらに2015年には品川まで直通する上野東京ラインが開通したことにより、それまで東京や新橋にある勤務先に上野で山手線・京浜東北線に乗り換えていた常磐線ユーザーの利便性が大幅に向上した
都心にあるエアスポット
三河島駅
三河島は
1日の平均乗車人員は1万373人(2014年)と常磐線のJR東日本管内の駅では最も少なく、東京23区内の駅でも4番目に少ない。
千葉を経て茨城まで走るこの列車、「酒盛り列車」という異名がついている。日暮里~牛久間は1時間弱で到着するが、その間、酒を飲みながら帰る乗客が多いためだ
→よく、常磐スタイルなんて言われているのを聞いたことがあります。
【6】平日も休日もにぎわう成長路線の京葉線
乗客数を減らす路線も多い中、いまでも乗客数を伸ばす京葉線は(中略)首都圏でもっとも新しいJR路線
沿線の街は、どこもニューファミリー層が目立ち、ニュータウン然とした雰囲気
新浦安駅は乗車人員5万3000人のうち3万8000人以上が定期券利用者─つまり駅の利用者の7割が通勤通学客という、まごうことなきベッドタウン
その一方で
土日祝日の京葉線で圧倒的な存在感を放つのが舞浜駅だろう。日本人の誰もが知る、東京ディズニーランド・シーの最寄り駅である同駅は1988年に開業した
京葉線の沿線開発を進めるきっかけになりそうなのは、2020年の東京オリンピックだろう。
選手村は新木場からも近く、(海浜幕張駅の)幕張メッセなどでも一部の競技が開催予定
開業から約40年経っているも、まだ“若い”路線だけにポテンシャルを秘めている
Next: ブランド力の東急東横線、サザエさん愛用の田園都市線、学生を制す西武新宿線
【7】全域でスキのないブランド力の東急東横線
渋谷から横浜までを一直線ではないものの、比較的最短距離で走る東急東横線
東急東横線沿線は、比較的家賃が高いことで知られている
渋谷を出発し、代官山あたりまでは高級住宅地
そこから先の中目黒からは、高級感があまりない
おしゃれではあるが、高級とはいいがたい学芸大学の路線価は、一坪当たり265.5万円
目黒区と世田谷区の境目あたりにある自由が丘は、地域の中心地として人気が高い。自由が丘周辺の路線価は、学芸大学の2倍弱、一坪当たり598万円
この先ではちょっとだけ世田谷区に入り、大田区田園調布へと入っていく
田園調布から多摩川まで高級住宅街が続き、多摩川をすぎると、神奈川県へと入っていく
神奈川県に入ると、高層マンションやオフィスビルがどんどん増えていく。なかでも高層ビルが林立しているのは武蔵小杉だ
武蔵小杉の新築マンション相場は上がりつつあり、家族で暮らすのに広めの80平米のマンションは1億円に達するものもあり、平均年収では購入はむずかしい
その後、日吉に入る
慶應義塾大学日吉キャンパスも、東急によって無償提供されたことによりつくられたもの
住宅街の中を走り、だんだんと横浜に近づいていく
横浜というブランドタウンへの直通運転が、東横線のハイソサエティぶりを盤石にしている
【8】サザエさんも使っていた?東急田園都市線
混雑しているというのが一般的な東急田園都市線に対するイメージだろう
朝ラッシュ時の池尻大橋~渋谷間の混雑率は185%を超え(中略)都内の私鉄では3位(の混雑ぶり)
乗り入れ先の半蔵門線が延伸するにつれ、渋谷の先へもアクセスしやすくなり、この線も発展していった
アニメ「サザエさん」の舞台でおなじみの桜新町で下車してみると、低層の住宅街が広がっている
桜新町の路線価は一坪当たり217.6万円。仮に30坪としても、土地代だけで6000万円を優に超える
桜新町から用賀を過ぎ、二子玉川の直前で、地上に出る。
二子玉川ライズはショッピングセンターだけではなく、オフィスやマンションも一体になっており、楽天の本社もある。路線価は一坪当たり170.2万円
多摩川を渡り(中略)武蔵溝ノ口。JR南武線との乗換駅
ちなみに
南武線沿線で最も1LDKの家賃相場が高いのは武蔵小杉、次いで武蔵溝ノ口。つまり、東急線との乗換駅
→このへんの情報はとても気になるところですね。
その後、いったん川崎市をはさむが、たまプラーザのある横浜市青葉区に入ると様相が一変する。たまプラーザの駅前にある書店・有隣堂では「小学生受験フェア」をやっており、教育熱心な土地のようだ
商業施設の充実、都心へのアクセスの便利さ、すぐれた教育環境、それらが一体化して田園都市線の人気を高める。田園都市線は、東急によって世界観がつくられた32kmに及ぶテーマパーク
といえる
【9】学生を制する者が新宿線を制す~西武新宿線
池袋線と並んで西武鉄道の主要路線である西武新宿線は、東京都新宿区の西武新宿から埼玉県川越市の本川越までの47.5kmを結んでいる
新宿線のブランドタウン6駅の内訳は
西武新宿(164万円/平米)
高田馬場(105万5000円/平米)
下落合(61万3000円/平米)
中井(59万500円/平米)
新井薬師前(62万7000円/平米)
沼袋(53万円/平米)
そして、その後に続く駅も
本川越に至るまで10万円/平米を割り込む駅がひとつもない。
もうひとつの特徴
沿線に住む学生の多さ
早稲田大学の学生は高田馬場を“庭”としている
早稲田大学の場合は約5万人の学生のほとんどが早稲田周辺に集中
早稲田大の学生は早稲田ならびに高田馬場へのアクセスを考え、都内では比較的家賃の安い西武新宿線沿線に住む傾向が強い
ということで、西武新宿線沿線での投資において学生というのも一定数考慮しなくてはならない。
Next: 池袋の双璧・西武池袋線&東武東上線、ハイブランドな小田急線
【10】クールジャパンの礎を築いた、西武池袋線
池袋を起点に埼玉の所沢まで走る西武池袋線は、新宿線と並ぶ西武鉄道の路線
残念ながら新宿線の方が常に“住みたい街ランキング”で上を行き、池袋線は下位に沈む傾向にある
沿線に人気があるとはお世辞にもいえず、利用者も大した数字ではないという、なんとも微妙な路線
と、この本の中ではひどい言われようなので、個人的に擁護すると
西武池袋線の池袋から一駅の椎名町には、漫画の神様で知られる手塚治虫先生が暮らした「トキワ荘」がありました。
この「トキワ荘」には、赤塚不二夫先生や、藤子不二雄先生など日本の漫画界の誰もが知るビッグネームが暮らしていました。
また、東久留米駅は高橋留美子先生が描いた、めぞん一刻の舞台となっており漫画の中に出てくる駅舎のデザインは、(当時の)東久留米駅そのものでした。
ということで、西武池袋線がなかったら、漫画黎明期のビッグネームがトキワ荘に集うこともなかったかもしれません。
現代、クールジャパンと称され内外から高い評価をされる日本の漫画やアニメの礎を築いたということからも、西武池袋線は偉大な路線なのです。
この部分は完全に個人的見解です。
【11】ハイブランドな小田急線
小田急線は新宿という巨大ターミナルに加え、一大観光地・箱根とともに成長してきた
小田急はロマンスカーを運航していることから、大手私鉄の路線の中で最も売上高の高い路線(年間1113億円:2012年度)
町田駅や新百合ヶ丘駅の拠点性が高く、賃料水準も周辺駅より高い
喜多見駅から東京23区内に入るが、次の成城学園前駅で賃料相場が一気に上昇する
経堂駅や千歳船橋駅、成城学園前駅などが世田谷区内を走行しているが、高所得者層が多く居住するエリアでもある
TBSや博報堂など赤坂に本社を構える企業の重役は、この辺に住んでいることが多いという
最近特に人気を集めているのが経堂駅である
ここ数年で開発ラッシュが進み、マンションの分譲が相次いでいる。新宿駅までは急行で12分、各駅停車で18分と程よく離れた場所にあり、最終電車の終着というのもポイントが高い
一方、成城学園前駅は都内でも有数の高級住宅地として確固たるブランドを有している
成城自治会が良好な住環境を維持するために定めた「成城憲章」には、「派手な看板は設置しない」「機械式駐車場の設置を制限する」「敷地が道路に面した場所には、なるべく高い塀を設けない」など、さまざまな取り決めが定められている
【12】西武と並ぶ池袋の双璧~東武東上線
東武東上線は豊島区から板橋区を抜け、そのまま埼玉県へと走っていく
埼玉県に入ると和光市や朝霞市、新座市、志木市などを走るが、このあたりは東京のベッドタウンとしての趣が強く、川越市駅までがおおむね通勤圏
朝のラッシュ時は137%(北池袋~池袋)にとどまり、首都圏の路線としては比較的平和
ツメが甘いブランド化戦略
のときわ台
内務省主導で開発が進められたときわ台は、現在でも高級感漂う雰囲気と景観を残す街並みとなっている
が
結局、東上線の宅地開発は残念ながら駅前のごく一部の区画にとどまった
誤解を恐れずにいわせてもらう
と東上線は
これからの路線なのだ
Next: がんばれ京成線、八王子と都心をつなぐ京王線、横浜方面の足・京急本線
【13】がんばれ!京成線
京成本線は上野から成田空港までを結ぶ69.3kmの、首都圏私鉄のなかでは比較的長めの路線
京成上野から国府台に行く間に、台東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区の5つ、いわゆる東京の下町を走る
朝のラッシュ時は133%と平和な通勤が可能だ
沿線地価の平均は1平米あたり約23万円
千葉側の主要都市での乗り換えはどうかというと、新津田沼駅はJR津田沼駅から5~6分は歩かなければならない。京成船橋と船橋も駅舎を出て数分歩く(中略)なかなかつらい距離だ
この微妙な距離にある両駅、新津田沼は1日の乗車客数が約3万6000人であるのに対して、JR津田沼駅は10万人を超える。圧倒的な人数差があるが、その差もここ10年以上、ほぼ同程度で推移している
【14】八王子までつながる京王線
ハイソな小田急線とサブカルな中央線にはさまれた京王電鉄京王線は、両社に比べていまいち存在感がないかもしれない
地味でありながらも、決して生活の質は悪くない京王線。7割方は東京23区外を走り、落ち着いた雰囲気を醸し出す
新宿駅から地下線を走り、笹塚からは地上を走る。ここから23区と多摩との境目にある千歳烏山までは、住宅街が続く。途中、明大前には明治大学和泉キャンパスが、桜上水には日本大学文理学部があり、教育施設も充実している
特急停車駅である明大前の路線価は坪単価216.7万円。これは、高級住宅街で知られる世田谷区の奥沢とそれほど変わりはない。
23区と多摩の境目にある千歳烏山の路線価は、坪単価163.9万円。小田急線の千歳船橋の路線価と同程度だ
京王線の駅で新宿駅に次ぐ乗降人数を誇るのが調布(約11万5000人:2014年度)
調布市はいまだに人口流入が続いている。現在の人口は22万7785人(2016年5月1日現在)。市の人口推計では、ゆるやかに増加を続けている
→この辺の情報は非常に重要だと思います。
高幡不動あたりまで行くと、坪単価113.4万円と路線価がぐっと下がる。
北野で高尾山口へ向かう京王高尾線と分かれ、列車は京王八王子へと向かう。
(京王八王子は)
近年発展しており、かつてのような“東京のはずれ”ではなく、郊外の拠点都市としての力をつけ、駅周辺には支店や営業所などが多くある
【15】横浜方面の人の足~京急本線
京急本線は
品川から川崎、横浜を抜け、三浦半島の海沿いを走る路線
首都圏の私鉄のなかで小田急線に次ぐ運賃収入を稼ぐ路線
1日1kmあたりの乗客数も27万人と、これも私鉄上位
その割に朝ラッシュ時は戸部→横浜間で146%と、首都圏にしては比較的快適に通勤できる路線
にもかかわらず
特筆すべきが遅延の少なさ
京急本線を使っている人は、遅刻は許されない
路線全線の地価の平均は38万円/平米と高め
品川、泉岳寺の順に土地が高い。
今後、京急沿線での最大のイベントは、2027年に予定されているJR東海のリニア中央新幹線の開業だ
リニアの始発駅は品川駅周が予定されており、その際、私鉄においては京急の泉岳寺が乗換駅となることが予想されている
最大のポテンシャルを持った私鉄沿線は、京急本線・空港線といっても過言ではない。家賃が高くなる前に、住むなら今ではないだろうか
Next: 買い時の相鉄本線、混雑日本一の東西線、高級街から団地街まで都営三田線
【16】今が買い時?相鉄本線
神奈川県随一のターミナル駅である横浜から横浜市内陸部を経由して神奈川県の県央に位置する海老名までを結ぶ通勤・生活路線である相鉄本線
相鉄本線の特徴は、利用客の大部分が沿線住民であること
都内を走行しないため、沿線のブランドタウンが18駅中横浜(108万円/平米)の1駅である
とはいえ、以降の地価は横浜から数百メートルしか離れいてない平沼橋で34万4500円、星川が22万6000円、相模大塚が16万2000円といった具合で(中略)価格の下がり方が激しく、沿線は人気エリアとはいい難い
将来的にはそんな状況を打破できるかもしれない
ダイレクトに都心部にアクセスする2つの計画
がある。
ひとつは
2018年度内に開業を目指す「相鉄・JR直通線」(仮称)
この連絡線ができると(中略)湘南新宿ラインと同じ経路で新宿方面に達する
もう一つの計画は(中略)渋谷や目黒へのアクセスも格段に向上する
ものであり
2019年の開業を目指している
【17】日本一の混雑路線~東西線
東京メトロ東西線こそが、日本一混雑する路線
東西線(木場→門前仲町)の最混雑率は200%で、堂々の日本一である
千葉から東京に向かう列車では
西葛西あたりで乗客が乗り切れなくなり(中略)この混雑は5つ先の茅場町まで続く
一方で、中野方面からの電車は空いている
都心部の駅を見ると、門前仲町、日本橋、神楽坂、(中略)茅場町、大手町と日本を代表する街を串刺しにしている。混雑するのも無理はない
その他に注目するべき駅は、日本有数のマンモス大学、早稲田大学がある早稲田である
東西線の西船橋方面は一人暮らしの学生が少ない
逆に
家族世帯
が多い。
若いファミリーが多い
東西線と京葉線が通る葛西エリアに注目すると、生産年齢人口(15歳~64歳)が69%と他のエリアよりも5%も高く、転入・転出の割合も最も高い。若い世帯が多く、その流動も激しい
東京寄りの千葉である
市川市には、社宅が多いという特徴もある
妙典を過ぎて江戸川を渡ると、船橋市の原木中山、西船橋となり、東西線は終点である。どちらも多くのマンションが建ち、人口も増えており、その点では共通した特徴がある
さらに興味深いことに
葛西にインド人コミュニティがある
行徳・妙典にもインド人は多い
東西線はインド人コミュニティを結ぶ路線でもあるのだ
【18】お金持ちの町から都内のはずれまで~都営三田線
三田線は「都営」であるため、全区間が23区内にある
全線23区内にもかかわらず
ベッドタウンを有するというのは、地味ながら特殊なケースの路線
しかも、目黒、白金台、白金高輪などの家賃相場が都内でも相当高い地域の高級住宅地から、家賃も23区内で安値な西高島平といった住宅地までを結んでいる。
高島平に大規模団地
ほかにも三田線は、都営住宅・公団住宅といった大規模な団地が沿線のいたるところにあるのが特徴
高島平のほかにも、西台には団地マニアの間でも有名な存在だった都営住宅西台アパートおよび東京都住宅供給公社西台住宅があった
そのため
「三田線沿線に住んでいる」といわれれば、「ああ、団地に住んでいるのかな」と
想像してしまうレベルだ。
→余談だが、団地やURなどが多いということは、個人の賃貸アパートにとっては決して良い環境とは言えない。
ただし、三田線は成長路線であり
2000~2011の10年間の間に、乗客数は18.6%も増え
ている。
Next: 秋葉原へ好アクセスのつくばエクスプレス、総括
【19】アキバへのアクセスが超重要~つくばエクスプレス
つくばエクスプレスが開業したのは2005年
営業成績は順調で(中略)運賃収入(約384億円)を稼いでいる
2005年は1日平均15万人ほどの乗客数だったが(中略)2014年には32万5000人
と増加している。
新築マンションの購入を検討する若いファミリー層にとって、つくばエクスプレス沿線はなにかしら選択肢のひとつとなっていただろう
80平米ほどのマンションの中古相場が、南千住であれば5000万円台あたりだが、そこから5駅、14分ほど乗った三郷中央で2000万円台前後まで下がる。要するに、値ごろ感がある
秋葉原へのアクセスのよさが、つくばエクスプレスのウリ
秋葉原は
JR東日本で9番目の乗車人員を誇るターミナル駅
つまり通勤にぴったりということである。
ただし、
運賃は高い
という問題がある。つくばエクスプレスの運賃でも通勤手当がでる会社に勤めているのであればおススメの路線かもしれない。
総括
東京に住んでいても、自分が使っていない路線はピンとこない人も多いでしょう。本書は普段なじみのない路線のイメージを知る手掛かりになるものです。
ただ、自分が住んでいた路線や好きな路線について、あまりぱっとしない評価を下されていると少し悲しい気持ちにもなります。とはいえ、投資をする上では自分の愛着などをいったん横に置いて、冷静に見る必要があります。そういう点から、第三者評価として本書の路線評価を参考にするのも良いと思います。
最後に、本書の文章は、鉄道に関する付帯情報が多く非常に読みづらい書きぶりとなっています。この本は通読するのではなく、物件の購入を検討する時にその路線を調べる辞書として使うのが良いと思います。でわでわ。
『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』(2016年11月17日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
無料メルマガ好評配信中
1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ
[無料 ほぼ 平日刊]
会社員の姫ちゃんが1億円の大家さんになれた!あなたも数年で1億円の大家さんになれる!何から始めたら良いかわからない人に読んでもらいたい。基礎を守って、リスクは小さく、リターンは中くらい初歩からコツコツと誰でもできるシンプルな不動産ノウハウをあなたに~♪